クロ・ド・タール:ブルゴーニュの至宝、その神秘を紐解く
ワインを知りたい
先生、「クロ・ド・タール」って、どんなワインのことですか?
ワイン研究家
良い質問だね。「クロ・ド・タール」はフランスのブルゴーニュ地方で作られる、とても有名な赤ワインだよ。モレ・サン・ドニ村にある5つの特級畑のひとつで、限られた場所でしか作られていないんだ。
ワインを知りたい
限られた場所で作られているんですね!どんな味がするんですか?
ワイン研究家
スミレやイチゴのような華やかな香りが特徴で、熟すとさらに複雑な味わいになるんだ。若いうちは渋みが強いけど、時間をかけて熟成させることで、まろやかで深みのある味わいになるんだよ。
クロ・ド・タールとは。
「クロ・ド・タール」は、フランスのブルゴーニュ地方にあるモレ・サン・ドニ村という村に存在する、五つしかない特別なぶどう畑の一つです。2017年まではモメサンという会社だけが所有していましたが、今はフランソワ・ピノーさんという方が所有しています。この畑でできるぶどうから作られるお酒は、すみれやいちごのような良い香りがして、しっかりとした味わいと、人を惹きつける魅力を兼ね備えています。できたばかりの頃は渋みが強いですが、時間が経つにつれて渋みが落ち着き、複雑な味わいになります。土壌は、崩れ落ちた土が、40cmから120cmもの厚さで石灰岩の上に広く覆いかぶさっています。クロ・ド・タールは、1411年にシトー修道会という所の修行僧によって作られ、その後、所有者はたったの三回しか変わっていません。このお酒に使われているぶどうの品種はピノ・ノワールという種類で、赤色のお酒です。
唯一無二のテロワールが生む孤高のワイン
フランス東部、ブルゴーニュ地方の中心に位置するモレ・サン・ドニ村。数多くの特級畑がひしめくこの村に、たった7ヘクタールほどの小さな区画が存在します。それが、「クロ・ド・タール」と呼ばれる単一畑です。
かつてはかの有名なモメサン社が所有していましたが、2017年からはフランソワ・ピノー氏の単独所有となり、現在もその体制が続いています。
「クロ・ド・タール」は、三方を石垣で囲まれた独特の景観を持つことでも知られています。南向きに緩やかに傾斜した畑は、水はけが良く、ぶどう栽培に最適な環境です。
表土は非常に薄く、その下には石灰岩質の土壌が広がっています。
この特殊な土壌が、クロ・ド・タールで育つぶどうに、他のワインにはない独特の個性を与えているのです。
濃厚で力強い味わいのワインが多いモレ・サン・ドニ村のワインの中にあって、クロ・ド・タールは、エレガントで繊細な味わいのワインを生み出すことで知られています。
しっかりとした骨格を持ちながらも、絹のように滑らかな舌触り。
熟した赤い果実やスパイスを思わせる複雑な香りは、飲む人を魅了して止みません。
世界中のワイン愛好家が「幻のワイン」と賞賛するのも頷ける、まさに孤高の存在と言えるでしょう。
名称 | クロ・ド・タール |
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場所 | フランス東部、ブルゴーニュ地方、モレ・サン・ドニ村 |
面積 | 7ヘクタール |
所有者 | フランソワ・ピノー氏(2017年〜) |
特徴 | 三方を石垣で囲まれた、南向きに緩やかに傾斜した畑。水はけが良く、ぶどう栽培に最適な環境。 表土は薄く、石灰岩質の土壌が広がっている。 |
ワインの特徴 | エレガントで繊細な味わい。しっかりとした骨格を持ちながらも、絹のように滑らかな舌触り。 熟した赤い果実やスパイスを思わせる複雑な香り。 |
スミレとイチゴの芳醇な香り
クロ・ド・タールのワインの魅力は、グラスに注いだ瞬間に漂う、スミレやイチゴを思わせる華やかで芳醇な香りにあります。ひと口含むと、その香りのイメージそのままに、果実の甘やかな風味が口いっぱいに広がります。しかし、ただ甘いだけではありません。若いうちは、渋みのもととなるタンニンが強く、しっかりとした骨格を感じさせます。この力強さが、繊細な香りと味わいを引き締め、クロ・ド・タールならではの複雑で深みのある味わいを生み出しているのです。そして、時間の経過とともに、その味わいはさらに進化していきます。長期間熟成させることで、当初の力強さは穏やかに変化し、タンニンは溶け込んでまろやかに。熟した果実のような、より複雑で円熟した味わいが姿を現します。このように、クロ・ド・タールのワインは、長年の熟成に耐えうる、高いポテンシャルを秘めているのです。年月を経るごとに変化するその味わいを、じっくりと堪能するのが、クロ・ド・タールを楽しむ醍醐味と言えるでしょう。
特徴 | 説明 |
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香り | スミレやイチゴを思わせる華やかで芳醇な香り |
味わい |
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熟成 | 長期間熟成可能で、時間とともに味わいが変化 |
総評 | 複雑で深みのある味わいが特徴。長年の熟成に耐えうる高いポテンシャルを持つ。 |
歴史に刻まれたブドウ畑
ブルゴーニュ地方、コート・ド・ボーヌ地区にある「クロ・ド・タール」。その名前を耳にしたことがある方もいるかもしれません。この特別なブドウ畑は、長い歴史の中でわずか3回しか所有者が変わっていないという、驚くべき過去を持つ場所です。
物語は15世紀初頭、西暦1411年に遡ります。当時この地を治めていたタールのシトー派修道士たちによって、初めてブドウの樹が植えられたのがその始まりです。修道士たちは、ブドウ栽培とワイン造りに情熱を注ぎ、その技術は脈々と受け継がれていきました。そして、長い年月を経て、クロ・ド・タールは高品質なワインを生み出す特別な土地として、その名を知られるようになったのです。
今日に至るまで、代々の所有者たちは、このブドウ畑が持つ歴史的価値と、その品質を守るため、たゆまぬ努力を続けてきました。古くから伝わる伝統的な製法を守りながら、最新の技術も取り入れることで、ブドウの持つ力を最大限に引き出しているのです。 クロ・ド・タールで生まれるワインの一滴一滴には、長い歴史と、土地への深い愛情が込められていると言えるでしょう。
名称 | 特徴 |
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クロ・ド・タール |
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石灰岩土壌が育む力強い味わい
フランスのブルゴーニュ地方南部に位置するクロ・ド・タール。この地で造られるワインは、力強く複雑な味わいで、世界中のワイン愛好家を魅了しています。その秘密は、ブドウ畑の土壌にあります。
クロ・ド・タールのブドウ畑の土壌は、石灰岩を多く含むことが大きな特徴です。石灰岩は、太古の時代に海に生息していた生物の殻や骨格が堆積してできた岩石です。クロ・ド・タールの畑では、この石灰岩が長い年月をかけて風化し、細かく砕かれ、40cmから120cmもの厚さで堆積しています。
石灰岩土壌は、水はけが良いという特徴があります。そのため、ブドウの木は、地中深くまで根を伸ばし、土壌のミネラルを豊富に吸収することができます。ミネラルを豊富に含んだブドウから造られるワインは、凝縮感があり、力強い味わいを持ちます。
さらに、石灰岩土壌は、昼夜の寒暖差が大きいというブルゴーニュ地方の気候とも相性が良く、ブドウをゆっくりと成熟させます。その結果、クロ・ド・タールのワインには、力強さだけでなく、複雑で奥深い味わいが生まれます。
まさに、クロ・ド・タールのワインの味わいは、石灰岩土壌という、この地のテロワールが生み出す奇跡と言えるでしょう。
要素 | 詳細 | ワインへの影響 |
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土壌 | 石灰岩を多く含む | 水はけが良く、ブドウの木がミネラルを吸収しやすい |
土壌の厚さ | 40cm~120cm | ミネラル豊富なブドウを育てる |
気候 | 昼夜の寒暖差が大きい | ブドウがゆっくりと成熟し、複雑な味わいになる |
ワインの特徴 | 力強く複雑な味わい | 凝縮感があり、奥深い味わい |
ピノ・ノワールが生み出すエレガントな赤ワイン
フランスのブルゴーニュ地方を代表する赤ワイン用ブドウ品種、ピノ・ノワール。気候や土壌の影響を受けやすく、栽培が難しい品種として知られていますが、その分、優れたテロワール(生育環境)で育った場合には、他に類を見ないほどエレガントで複雑な味わいのワインを生み出します。
中でも、単一の畑で栽培されたブドウのみを使って造られる「クロ・ド・タール」と呼ばれるワインは、ピノ・ノワールの持つポテンシャルを最大限に引き出した、至高のワインと言えるでしょう。
クロ・ド・タールで栽培されているブドウ品種は、ピノ・ノワールのみ。限られた区画で、その土地の個性を余すところなく表現したワインは、まさに「一期一会」。
グラスに注げば、ルビーのような輝きを放ち、熟した赤い果実やスパイス、なめし革などを思わせる複雑な香りが広がります。口に含むと、絹のように滑らかなタンニンと、生き生きとした酸味が調和し、長い余韻へと続きます。
ブルゴーニュのテロワールと、ピノ・ノワールのポテンシャルが出会って生まれた、エレガントな赤ワインを、ぜひ一度味わってみてください。
項目 | 内容 |
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ブドウ品種 | ピノ・ノワール |
産地 | フランス ブルゴーニュ地方 |
特徴 | 栽培が難しい品種だが、優れたテロワールで育つとエレガントで複雑な味わいのワインになる。 |
クロ・ド・タール | 単一の畑で栽培されたピノ・ノワールのみで造られる、ピノ・ノワールのポテンシャルを最大限に引き出したワイン。 |
外観 | ルビーのような輝き |
香り | 熟した赤い果実、スパイス、なめし革 |
味わい | 滑らかなタンニン、生き生きとした酸味、長い余韻 |