ローラン・ペリエ：シャンパーニュの真髄を追求するメゾン

ローラン・ペリエ：シャンパーニュの真髄を追求するメゾン

シャンパーニュ地方の銘醸地、トゥール・シュール・マルヌに位置する

フランスの北東部に広がるシャンパーニュ地方。その中心地からほど近いマルヌ川の流域に、トゥール・シュール・マルヌという美しい街があります。石灰岩の崖に囲まれたこの街は、古くからシャンパーニュの銘醸地として知られてきました。温暖な気候と水はけのよい土壌は、ブドウ栽培に最適で、きめ細やかで豊かな味わいのワインを生み出します。

そんな恵まれた環境の中、ローラン・ペリエは代々受け継がれてきた伝統と技を守りながら、高品質なシャンパーニュを造り続けています。ブドウの栽培から瓶詰めまで、すべての工程において妥協を許さないその姿勢は、まさにシャンパーニュ造りへの情熱の証と言えるでしょう。

太陽の光をいっぱいに浴びて育ったブドウから造られるシャンパーニュは、繊細な泡立ちと、芳醇な香りに満ち溢れています。一口飲めば、豊かな自然と歴史を感じることができるでしょう。世界中の愛好家を魅了するシャンパーニュ、ローラン・ペリエ。その深い味わいをぜひ一度、ご堪能ください。

長い歴史を持つネゴシアンとして誕生

ローラン・ペリエは、今から200年以上も昔、1812年にネゴシアンとして産声を上げました。ネゴシアンとは、自社でブドウ畑を持たずに、信頼のおける契約農家からブドウを買い付け、ワイン造りを行う生産者のことです。ローラン・ペリエは、創業当初は小さなネゴシアンに過ぎませんでした。しかし、その妥協を許さない品質の高さが徐々に人々の心を掴み、評判を上げていったのです。やがて、その名はフランス国内にとどまらず、世界中に広がり、多くの人々に愛されるシャンパーニュメゾンへと成長を遂げました。

自社畑の取得と所有畑の変遷

このシャンパーニュメゾンは、元々はワインの販売を専門とするネゴシアンとしてその歴史をスタートさせました。しかし、「最高のシャンパーニュを自らの手で生み出したい」という熱い想いが、彼らをぶどう栽培という新たな挑戦へと導いたのです。
高品質なシャンパーニュを造るためには、高品質なぶどうを育てることが不可欠です。そこで彼らは、自社でぶどう畑を所有し、栽培から醸造までを一貫して行うことを決意しました。
目指したのは、シャンパーニュ地方の中でも特に評価の高い「グラン・クリュ」や「プルミエ・クリュ」の格付けを持つ畑の取得です。長い年月をかけて、彼らはブジー、トゥール・シュール・マルヌ、アンボワジーなど、シャンパーニュ造りに最適なテロワールを持つ厳選されたエリアに畑を広げていきました。
その結果、現在では総面積180ヘクタールを超える広大な自社畑を所有するに至り、高品質なシャンパーニュを安定して供給できる体制を確立しています。これは、彼らの揺るぎない信念とたゆまぬ努力の賜物と言えるでしょう。

第二次世界大戦後のメゾンの発展とベルナール・ノナンクール氏の功績

第二次世界大戦後、シャンパーニュ地方は大きな痛手を負い、多くのメゾンが壊滅的な状況に陥っていました。ローラン・ペリエもまた、戦争の傷跡深く、その未来は決して明るいものではありませんでした。このような状況の中、1949年、若きベルナール・ノナンクール氏がわずか28歳でメゾンの経営を引き継ぐことになりました。これは、ローラン・ペリエにとって大きな転換期となりました。

ノナンクール氏は、持ち前の情熱と卓越した手腕で、戦争で荒れ果てた畑と施設の復興に着手しました。まず彼は、土壌の改良とブドウの植え替えを行い、シャンパーニュ造りの根幹であるブドウの品質向上に力を注ぎました。同時に、戦争で破壊された醸造設備を最新鋭のものへと刷新し、伝統的な製法を守りながら、より高品質なシャンパーニュを生み出すための体制を築き上げました。

さらにノナンクール氏は、積極的な海外展開も視野に入れます。当時、シャンパーニュはフランス国内で消費されることがほとんどでしたが、彼はいち早く国際市場の可能性に着目し、ローラン・ペリエを世界へと広めていきました。彼の先見の明とたゆまぬ努力が実を結び、ローラン・ペリエは世界中で愛されるシャンパーニュメゾンへと成長を遂げ、今日の名声を確立する礎を築いたのです。

ローラン・ペリエの哲学：ブレンドの妙技

シャンパーニュの世界において、ローラン・ペリエの名は、その卓越したブレンド技術によって広く知られています。彼らは、「ブレンドこそシャンパーニュの真髄」という揺るぎない信念のもと、唯一無二の味わいを生み出しています。

世の中には、単一年の収穫や単一の畑のブドウのみを用いることで、その年の気候や土壌の特徴をストレートに表現したシャンパーニュも存在します。しかし、ローラン・ペリエは、多様な年に収穫された、多様な畑のブドウを巧みにブレンドすることを選択しています。

まるで画家がパレットの色を駆使するように、彼らは長年の経験と知識に基づき、それぞれのブドウが持つ個性を最大限に引き出しながら、複雑で奥行きのある味わいを創り上げていくのです。柑橘系の爽やかさ、白い花の華やかさ、トーストのような香ばしさなど、様々な要素が織りなすハーモニーは、まさにローラン・ペリエの哲学の結晶と言えるでしょう。

メゾンのフラッグシップ「グラン・シエクル」

ローラン・ペリエの最高級シャンパーニュとして名高い「グラン・シエクル」。その名の通り、世紀を超越した味わいを目指し、メゾンの哲学を体現した一本として、1959年の誕生以来、世界中の愛好家を魅了し続けています。

このプレステージ・キュヴェの特徴は、なんといってもシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエという３つのブドウ品種の完璧な調和にあります。それぞれの個性を最大限に引き出すため、最適な畑のブドウだけを使用し、アッサンブラージュの妙技によって唯一無二の味わいを生み出しています。

長い年月をかけて熟成されたグラン・シエクルは、複雑で奥深い味わいを備えています。口に含んだ瞬間、芳醇な香りと共に、繊細な泡が優雅に立ち上ります。そして、熟した果実やブリオッシュを思わせる豊かな風味が広がり、長く続く余韻が至福のひとときを演出します。まさに、シャンパーニュの頂点と呼ぶにふさわしい、比類なき一本と言えるでしょう。