ドイツ

品種

ケルナー – 日本で育つドイツの華

- ケルナー誕生秘話 ケルナーは、1969年にドイツで誕生した、比較的新しい白ブドウ品種です。その誕生は、まさにドイツを代表する二つのブドウ品種の出会いから始まりました。一つは、華やかで芳醇な香りが特徴のリースリング。もう一つは、病気に強く栽培しやすいことで知られるトローリンガーです。 異なる個性を持つこの二つのブドウ品種を交配することで、リースリングの芳醇な香りと、トローリンガーの栽培のしやすさ、両方の長所を受け継いだ、まさに夢のようなブドウ品種が誕生しました。 そして、この新しいブドウ品種には、「ケルナー」という名前が付けられました。これは、18世紀から19世紀にかけて活躍した、ドイツを代表する詩人、ユスティヌス・ケルナーに由来します。彼は自然を愛する詩人として知られていましたが、実はブドウ栽培にも深い造詣を持ち、その功績を称えられて、新しいブドウ品種に彼の名が冠されたのです。
生産地

個性豊かなワインを生む地、ミッテルライン

ドイツ西部を雄大に流れるライン川。その中流域には、ボンからビンゲンにかけて約120キロメートルにわたる「ミッテルライン」と呼ばれる地域が存在します。ここは、多様な土壌と温暖な気候に恵まれた、まさにぶどう栽培の理想的な環境です。ライン川は、太陽の光を浴びて温まった空気を運び、ブドウの生育を促すとともに、急峻な斜面に広がるブドウ畑を霜害から守るという重要な役割も担っています。 川沿いの限られた土地を有効活用するため、古くから段々畑が築かれてきました。その景観は、自然と人間の努力が織りなす、他に類を見ない美しさです。幾重にも重なる段々畑と、その間を縫うように走る小道、そして点在する可愛らしい家並みは、まるで絵画の世界に迷い込んだかのようです。 こうした文化的景観が評価され、2001年には「ライン渓谷中流上部」としてユネスコ世界遺産にも登録されました。世界中から観光客が訪れ、その雄大な自然と、そこで育まれる文化に触れています。ライン川は、単に美しい景色を彩るだけでなく、そこで暮らす人々や、世界中の人々を魅了するワインを生み出す、まさに生命の源といえるでしょう。
品種

親しみやすい味わいのポルトギーザー

- ポルトギーザーとはポルトギーザーは、その名の響きからポルトガル生まれと誤解されがちですが、実はオーストリア発祥の黒ぶどう品種です。主に中央ヨーロッパで栽培されており、別名「ブラウアー・ポルトギーザー」とも呼ばれています。「ブラウアー」はドイツ語で「青い」という意味を持ち、これは完熟したポルトギーザーの実が濃い青紫色を帯びることに由来しています。ポルトギーザーは、栽培が比較的容易な品種として知られています。病害や気候変動への耐性も高く、安定した収穫量を得やすいという利点があります。そのため、ワイン生産者にとって心強い品種と言えるでしょう。ワインの特徴としては、軽やかでフルーティーな味わいが魅力です。赤い果実やベリー系の香りに加え、わずかにスパイスの香りが感じられることもあります。タンニンは控えめで、まろやかな口当たりが楽しめます。ポルトギーザーは、早飲みできる軽やかな赤ワインを造るのに最適な品種です。 chilledワインとして気軽に楽しまれるほか、ピクニックやバーベキューなど、屋外で楽しむワインにも最適です。また、近年では、その飲みやすさから、若い世代やワイン初心者にも人気が高まっています。
その他

世界を味わう!ワインの祭典「プロヴァイン」

春の訪れと共に、ワインの世界にも大きな祭典がやってきます。それが、毎年3月にドイツのデュッセルドルフで開催される「プロヴァイン」です。プロヴァインは、世界中からワイン関係者が集結する、世界最大規模を誇るワイン展示会です。会場となるのは、広大なデュッセルドルフ見本市会場。世界各国から集まったワイン生産者や importers、ジャーナリスト、そしてワイン愛好家たちで、会期中は熱気に包まれます。 プロヴァインの魅力は、なんといってもその規模と多様性にあります。会場には、世界中の著名なワイン生産者から、まだ見ぬ小さなワイナリーまで、数万種類ものワインが所狭しと並びます。ボルドーやブルゴーニュといった高級ワインから、自然派ワインやオレンジワインといった最新のトレンドまで、あらゆるワインに出会うことができます。 プロヴァインは、単なる展示会ではありません。ワインの試飲はもちろんのこと、生産者と直接会話してワインのストーリーや情熱に触れたり、セミナーやワークショップに参加してワインの知識を深めたり、様々な形でワインを楽しむことができます。ワインの最新トレンドを発信する場としても注目されており、プロヴァインで発表される情報は、その後のワイン業界に大きな影響を与えます。 ワインのプロフェッショナルから、ワインを愛するすべての人にとって、プロヴァインは、年に一度の特別な体験となるでしょう。世界中のワインが集まるこの祭典で、新たな発見と出会いを楽しみましょう。
生産方法

ワインの甘さの秘密?『ズースレゼルヴ』ってなに?

- はじめに ワインがお好きな方なら、「ズースレゼルヴ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。少し難しそうな響きで、どんなワインなのか想像しにくいかもしれませんね。しかし、「ズースレゼルヴ」は、実はとても魅力的なワインを生み出す、奥深い醸造方法なのです。 「ズースレゼルヴ」とは、ドイツ語で「予備の果汁」という意味です。簡単に言うと、ブドウの果汁の一部を、発酵前に取り分けておくことから始まります。 取り分けておいた果汁は、低温で大切に保管され、通常のワインとは別に熟成の時を刻みます。そして、通常のワインの発酵が終わった後に、この熟成された「予備の果汁」をブレンドすることで、「ズースレゼルヴ」ワインは完成するのです。 このように手間暇かけて造られる「ズースレゼルヴ」ワインは、芳醇な香りとまろやかな口当たり、そして複雑な味わいが特徴です。普段の食事を少しだけ特別な時間に変えてくれる、そんな魅力にあふれたワインと言えるでしょう。 今回は、この「ズースレゼルヴ」について、その魅力を分かりやすく紐解いていきます。どうぞ最後までお楽しみください。
ワインラベル

エクストラ・ブリュット:辛口スパークリングワインの極み

- エクストラ・ブリュットとはスパークリングワイン、特にシャンパンのように瓶内で二次発酵を行うワインには、甘口から辛口まで様々な味わいの種類があります。その甘辛度合いを示す用語の一つに、「エクストラ・ブリュット」があります。エクストラ・ブリュットは、文字通り「極めて辛口」を意味する言葉で、その名の通り、非常に辛口に仕上がっているのが特徴です。これは、ワインの製造過程で加えられる糖分量に関係しています。ワイン造りでは、発酵が終わった後に補糖を行うことがありますが、エクストラ・ブリュットの場合、残糖分量が1リットルあたり0~6グラムと、極限まで抑えられています。そのため、口に含むと、キリッとしたドライな味わいが広がり、後味はすっきりとしています。甘味よりも、ブドウ本来の酸味やミネラル感を強く感じるため、料理の味を邪魔せず、食前酒としてはもちろん、魚介料理などとも相性抜群です。豊かな香りとキレのある味わいは、特別な日の一杯にも最適です。
生産地

個性豊かなワイン産地、フランケン

ドイツの中央部に位置するフランケンは、個性豊かなワインを生み出す銘醸地として知られています。13あるドイツの特定栽培地域の一つに数えられ、大都市フランクフルトの東側に広がり、蛇行を繰り返すマイン川沿いに美しいブドウ畑が広がっています。 ドイツワインといえば、一般的にはモーゼルやラインガウといった地域が有名ですが、フランケンもまた、長い歴史と伝統を誇るワイン産地です。 フランケンワインの特徴は、何といってもその独特のボトル形状にあります。 ずんぐりとした円筒形で、少し扁平した形をしたボトルは「ボックスボイテル」と呼ばれ、フランケンワインの象徴として広く知られています。この個性的なボトルは、一説によると、18世紀頃にラインガウ地方で使用されていたボトルを参考に、フランケン地方のガラス工房が独自にアレンジを加えたものだと言われています。 フランケン地方では、シルヴァーナーやリースリングといったブドウ品種から、ミネラル感あふれる辛口の白ワインが多く造られています。特に、石灰岩土壌で育ったシルヴァーナー種から造られるワインは、しっかりとした骨格と上品な酸味が特徴で、世界中のワイン愛好家を魅了しています。近年では、ピノ・ノワール種などを使った赤ワイン造りも盛んに行われており、新たな銘醸地としての地位を確立しつつあります。
道具

ワイン熟成の立役者!知られざるフードル樽の世界

ワイン造りにおいて、樽熟成は欠かせない工程の一つです。これは、ワインをオーク材などで作られた樽に一定期間入れることで、樽由来の香気や成分をワインに移し、風味を深める熟成方法です。 ワイン樽には、様々な種類や大きさがありますが、中でも「フードル」と呼ばれる大樽は、その独特な存在感で知られています。 フードルは、フランスのボルドー地方で伝統的に使われてきた大樽で、その容量は実に225リットルから1000リットルにも及びます。これは、一般的な小樽の約2倍から9倍の大きさに相当します。 フードルの魅力は、その大きさから生まれる緩やかな熟成にあります。大きな容積を持つフードルは、ワインと空気の接触面積が相対的に小さくなり、ゆっくりとした熟成が促されます。これにより、ワインはまろやかで複雑な味わいを帯び、長期熟成にも適した風格を備えるようになります。 また、フードルに使われるオーク材は、樹齢100年以上の大木から厳選されることが多く、その年輪の細かさゆえに、繊細で上品な香りをワインに与えます。バニラやスパイス、ナッツなどを思わせる複雑な香りは、ワインに奥行きと複雑さを加え、より一層の魅力を引き立てます。 近年では、このフードルの魅力が見直され、伝統的なボルドーワインだけでなく、様々な地域のワイン造りにも取り入れられるようになっています。
生産地

ドイツ最北端のワイン産地、ザーレ・ウンストルートの魅力

ドイツでワインの産地として有名なのは、モーゼル地方やラインガウ地方など、比較的温暖な地域が多いでしょう。しかし、ドイツの中部よりもさらに北、北緯51度という冷涼な地域にも、ザーレ・ウンストルートというワイン産地が存在するのです。ここはドイツ最北端のワイン産地として知られており、その特殊な環境から生まれる個性的なワインが、近年ワイン愛好家たちの間で注目を集めています。 ザーレ・ウンストルートは、その名の通りザーレ川とウンストルート川に挟まれた地域に位置しています。冷涼な気候のため、ブドウの生育期間が長くなり、ゆっくりと時間をかけて熟成したブドウからは、凝縮感のある、複雑な味わいのワインが生まれます。特に、この地域で伝統的に栽培されてきたミュラー・トゥルガウという品種から造られる白ワインは、フルーティーな香りと爽やかな酸味が特徴で、ザーレ・ウンストルートを代表するワインとして人気を博しています。 近年では、地球温暖化の影響で、かつてはブドウ栽培に適さないと考えられていた冷涼な地域でも、高品質なワインが造られるようになってきました。ザーレ・ウンストルートもその一つであり、今後もこの地の個性的なワインが、世界中のワイン愛好家たちを魅了していくことでしょう。
生産地

ドイツワインの真髄に触れる:ラインヘッセン

ドイツ西部に広がる13のぶどう栽培地域の中でも、ラインヘッセンは最大の面積を誇る広大なワイン産地です。その名は伊達ではなく、雄大なライン川が左岸に作り出した丘陵地帯には、見渡す限りのぶどう畑が広がっています。 温暖な気候と、ライン川が運んできた栄養豊富な土壌に恵まれたこの地では、古くからぶどう栽培が盛んに行われてきました。その歴史はローマ時代にまで遡り、長い年月をかけて培われた伝統と技術は、今もなおワイン造りに息づいています。 ラインヘッセンは、白ワインの生産が盛んなことでも知られています。特に、リースリングという品種から造られるワインは、世界中で高い評価を得ています。リースリングは、この地の気候や土壌に非常によく適応し、フルーティーな香りと爽やかな酸味が特徴の、高品質なワインを生み出します。 近年では、国際的な品種の栽培や、新しい醸造技術の導入にも積極的に取り組んでおり、多様性に富んだワインが生まれています。伝統を守りながらも、進化を続けるラインヘッセンのワインは、これからも世界中の人々を魅了し続けるでしょう。
生産地

世界に名だたる銘醸地、ラインガウの魅力

- ドイツワインの聖地 ドイツ西部に広がるラインガウは、ライン川に沿って東西に細長く伸びた、豊かな自然に恵まれた地域です。ラインヘッセンの北側に位置し、その名の通り雄大なライン川の右岸に広がっています。東西約30キロメートル、南北わずか8キロメートルほどのこの小さな地域は、世界に名だたるワインの名産地として知られています。 ラインガウは、ドイツが誇る13の特定栽培地域のひとつに数えられています。温暖な気候と、ライン川とタウヌス山地に挟まれた独特の地形が生み出す、ブドウ栽培に最適な環境が、この地を特別なワイン産地へと押し上げました。 ラインガウで特に有名なのは、世界中で愛される高貴な白ワイン、リースリングです。きりっとした酸味と豊かな果実味、そしてミネラル感が織りなす、複雑で上品な味わいは、まさにこの地の風土が生み出す芸術と言えるでしょう。 古くから続く伝統的な醸造技術と、最新の技術を融合させ、情熱を持ってワイン造りに励む生産者たちの想いが、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。丘陵地帯に広がる美しいブドウ畑と、その間を縫うように走るロマンティック街道など、風光明媚な景色もまた、ラインガウの魅力のひとつです。