「お」

生産方法

澱抜き静置法:果実味あふれるワイン造りの秘訣

- 澱抜き静置法とはワイン造りにおいて、ブドウの果実味を最大限に引き出すために欠かせない工程、それが澱抜き静置法です。これは、赤ワインの製造過程で、発酵中の果汁を別の容器に移し替えることで、果皮や種を意図的に空気に触れさせる方法です。フランス語では「引き抜き」を意味する「デレスタージュ」とも呼ばれています。澱抜き静置法を行う目的は、果皮と種子から、より多くの色素やタンニンを抽出することにあります。赤ワインの魅力である鮮やかな色合いと、豊かな渋み、複雑な味わいは、この工程によって生まれます。具体的な手順としては、まず発酵途中の果汁をタンクから別の容器に移します。この時、タンクの底には、果皮や種子などの固形物が沈殿しています。この沈殿物を「澱(おり)」と呼びます。果汁を別の容器に移すことで、澱と果汁が分離されます。次に、空気に触れさせた状態で一定時間静置します。この間、果皮や種子に含まれる成分がじっくりと抽出され、果汁に移行していきます。その後、再び元のタンクに戻し、発酵を完了させます。澱抜き静置法を行うタイミングや時間、回数などは、ワインのスタイルやブドウの品種、その年のブドウの状態によって異なります。経験豊富な醸造家の繊細な判断と技術によって、そのワインに最適な方法が選択されます。 澱抜き静置法は、果実味あふれる、深みと複雑さを備えた、個性豊かなワインを生み出すために欠かせない工程と言えるでしょう。
生産方法

スパークリングワインの製造工程:澱抜き

- 澱抜きの目的 スパークリングワインの魅力といえば、きめ細かい泡立ちと、爽やかな喉越し。しかし、その美しい味わいの裏側には、実は「澱抜き」と呼ばれる重要な工程が存在します。 スパークリングワインは、瓶内二次発酵と呼ばれる独特な製法で生まれます。これは、通常のワインの発酵が終了した後、さらに糖と酵母を加えて瓶内で再び発酵させる方法です。この二次発酵によって、あの特徴的な泡が発生するのです。 しかし、同時に瓶内には「澱(おり)」と呼ばれる酵母の死骸が沈殿していきます。澱は、ワインに複雑な香りと味わいを付与する一方で、放置すると苦味や濁りの原因となり、本来の美味しさを損ねてしまうのです。 そこで登場するのが「澱抜き」です。これは、特殊な技術を用いて瓶内に沈殿した澱だけを取り除く、繊細な作業です。澱抜きを行うことで、不要な成分が取り除かれ、美しく輝くクリアな外観と、爽やかで雑味のない味わいのスパークリングワインが完成するのです。
生産方法

ワインの澱:その正体と役割

ワインを楽しむ機会が増えてきましたね。グラスに注がれたワインの色合いや香りに酔いしれるひとときは格別ですが、ボトルの底に沈んでいるものを見つけたことはありますか?それは「澱(おり)」と呼ばれるもので、ワインを口にする機会が多い方でも、詳しいことは知らないかもしれません。 澱は、一見するとワインが濁っている、あるいは劣化しているように見えるため、心配になる方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。澱はワインの熟成過程で自然に生じるものであり、品質に問題はありません。むしろ、澱の存在は、そのワインが丁寧に作られ、時間をかけて熟成された証と言えるのです。 澱の正体は、主にワインの成分であるポリフェノールやタンパク質、酒石酸などが長い時間をかけて結合し、大きく成長したもの。熟成期間が長いワインや、ろ過を最小限に抑えたワインに多く見られます。これらの成分は、ワインに複雑な香りと味わいを与え、深みを増す役割を担っています。 澱は人体に害を与えるものではありませんが、渋みや苦味を感じることがあるため、一般的にはワインをグラスに注ぐ際に取り除きます。しかし、あえて澱を混ぜて楽しむ方法もあります。澱を混ぜることで、ワインにより複雑な味わいが生まれます。ワインの楽しみ方は人それぞれ。澱の存在を理解し、自分にとって最高の形でワインを堪能しましょう。
気候

ワイン用ブドウ栽培の脅威:遅霜

春の暖かさと共に、待ち焦がれていたブドウの生育が始まります。冬の寒さを乗り越え、土の中で静かに眠っていたブドウの樹々が、再び生命の息吹きを感じさせる瞬間です。しかし、春の喜びも束の間、ブドウ農家にとって悩みの種となるのが「遅霜」です。遅霜とは、その名の通り、ブドウの樹が芽吹いた後に発生する遅咲きの霜のことです。 一般的には4月頃に発生し、せっかく芽吹いたばかりの若い芽や葉を容赦なく枯らしてしまいます。 冬の期間、ブドウの樹は休眠期に入り、厳しい寒さに耐えられる準備をしています。そのため、冬に霜が降りても、ブドウの樹に大きな影響はありません。しかし、暖かくなって活動を開始した後の、まるでいたずらのような遅霜は、ブドウの生育に深刻なダメージを与えてしまうのです。 春の光を浴びて、緑色の小さな芽が顔を出したかと思うと、その小さな芽は、遅霜の冷たい風にさらされ、茶色く枯れてしまうことがあります。農家の人々は、長い冬の間、ブドウの樹を大切に守り、春の訪れを待ち焦がれていたことでしょう。それだけに、遅霜による被害は、彼らの努力を一瞬にして奪ってしまう、まさに「春の落とし穴」と言えるでしょう。
道具

ワインの世界の静かな巨人:大樽熟成

ワイン造りにおいて、ブドウの品種や醸造方法と同様に、熟成はワインの味わいを決定づける重要な要素です。その熟成過程でワインを静かに育む「樽」は、まさにワインにとってゆりかごと言えるでしょう。中でも、1,000リットルを超える「大樽」は、ワインに劇的な変化を与えるのではなく、時間をかけてゆっくりと熟成させるために用いられます。 大樽で熟成される間、ワインは呼吸をするようにゆっくりと酸化していきます。このゆっくりとした酸化こそが、ワインにまろやかで複雑な味わいを生み出す鍵となります。巨大な容量を持つ大樽は、ワインと空気の接触面積が小さくなるため、急激な酸化を防ぎ、長い年月をかけて穏やかに熟成させることができるのです。 また、大樽は温度や湿度の変化が少ないため、ワインに安定した環境を提供します。ゆっくりと時間をかけて熟成することで、ワインの味わいは深みを増し、複雑なアロマが生まれます。それはまるで、長い年月をかけて熟成されたチーズや生ハムが、独特の風味を醸し出すのと似ています。 大樽は、ワインに派手な変化を与えるのではありません。しかし、静かに寄り添い、時間をかけてその潜在能力を引き出す、まさに名脇役と言えるでしょう。
道具

ワイン樽の世界:小樽の魅力に迫る

- 小樽とはワインを熟成させる過程で欠かせないのが樽ですが、中でも近年注目を集めているのが「小樽」と呼ばれる小型の樽です。一般的なワイン樽は400~500リットルほどの容量がありますが、小樽はそれよりもずっと小さく、200~300リットルほどしかありません。では、なぜ小樽が注目されているのでしょうか?それは、その小さなサイズに秘密があります。小樽は一般的な樽に比べて容量が小さい分、ワインと樽材が接する表面積の割合が大きくなります。そのため、樽材に含まれる香りや成分がワインに移りやすく、より豊かな香りと味わいを引き出す効果が期待できるのです。具体的には、バニラやスパイス、トーストのような香ばしい香りが加わり、複雑で奥行きのある味わいとなります。また、熟成が早く進むため、まろやかでまったりとした舌触りも生まれます。小樽は、フランスのボルドー地方などで古くから伝統的に使用されてきましたが、近年その優れた効果が見直され、世界中のワイン産地で採用が広がっています。日本でも、小樽で熟成させたワインは人気が高く、その芳醇な香りと味わいは、多くのワイン愛好家を魅了しています。
飲み方

ワインの温度で変わる味わい

ワインを口にする時、その温度が味わいに大きく影響することはご存知でしょうか。適切な温度でワインを味わうことで、隠れていた香りや味わいが花開き、本来の魅力を最大限に楽しむことができます。反対に、温度が適切でないと、せっかくのワインの持ち味が損なわれ、本来の美味しさを体験できない可能性もあります。 これは、ワインに含まれるアルコール、酸、タンニンといった成分が、温度によって変化する性質を持つためです。例えば、温度が低すぎると、香りが閉じ込められ、味わいがぼやけてしまいます。反対に、温度が高すぎると、アルコールの刺激が強くなりすぎたり、風味が単調になってしまうことがあります。 それぞれのワインの種類や特徴に合わせた適温で楽しむことが、ワインをより美味しく味わうための鍵と言えるでしょう。
生産方法

奥深い魅力:シェリー酒の王者「オロロソ」

シェリー酒と聞いて、皆さんはどんなお酒を想像するでしょうか?甘口のお酒を思い浮かべる方もいれば、辛口のお酒を思い浮かべる方もいるかもしれません。実際、シェリー酒には様々な種類が存在します。その中でも今回ご紹介するのは、「オロロソ」と呼ばれる辛口タイプのシェリー酒です。 数あるシェリー酒の中でも、オロロソは独特の存在感を放っています。それは、その複雑な香りと深い味わいにあります。熟成期間中に酒精強化されることで生まれる、力強く芳醇な香りは、他のシェリー酒では味わえない、オロロソならではの魅力と言えるでしょう。まるで長い年月をかけて熟成されたブランデーを思わせるような、複雑で重厚な味わいは、まさに「シェリー酒の王様」と呼ぶにふさわしい風格を備えています。 オロロソは、その独特の味わいを活かして、様々な楽しみ方ができます。食前酒としてはもちろんのこと、食後酒としてもおすすめです。また、チーズやナッツ、ドライフルーツなどのおつまみとの相性も抜群です。 もし、あなたがまだオロロソを味わったことがないのなら、ぜひ一度試してみて下さい。きっと、その奥深い味わいに魅了されることでしょう。
生産方法

オレンジワイン:その魅力に迫る

オレンジワインという名前を聞くと、オレンジの果汁を使ったワインを想像するかもしれません。しかし、実際にはオレンジは全く使われていません。その名の由来は、その独特の色合いにあります。まるでオレンジを思わせる、美しい琥珀色をしていることから「オレンジワイン」と名付けられました。 オレンジワインの原料は、白ワインと同じ白ブドウです。しかし、その製造方法は赤ワインに非常に近いものです。白ワインは通常、ブドウ果汁のみを発酵させますが、オレンジワインは赤ワインのように、果皮や種子も一緒に発酵させます。この工程こそが、オレンジワインの特徴的な色合いと味わいを生み出す鍵となります。果皮や種子に含まれるタンニンや色素が、ワインに溶け出すことで、美しい琥珀色と複雑な味わいが生まれます。 オレンジワインの歴史は長く、数千年前からジョージア地方などで受け継がれてきた伝統的な製法で作られています。近年、その個性的な味わいと製法が見直され、世界中で人気が高まっています。
生産方法

オレンジワインの魅力を探る

太陽の恵みをたっぷり浴びた果実から生まれる、黄金色に輝くワイン、それがオレンジワインです。その名の通りオレンジを思わせる色合いは、白ワインの原料となる白ぶどうを、赤ワインと同様に果皮や種子ごと発酵させる「マセラシオン」という方法で生まれるのです。 一般的な白ワインの製造過程では、果皮や種子は発酵前に取り除かれます。しかしオレンジワインの場合、白ぶどうの果皮や種子を果汁と共に漬け込むことで、色素やタンニン、香りが抽出され、独特の色と味わいが生まれます。 太陽の光をたっぷり浴びて育った果皮や種子には、豊かな香りの成分や渋み、旨みが凝縮されています。オレンジワインは、それらをじっくりと抽出することで、複雑な風味を持つワインとなるのです。柑橘系の果実やドライフルーツ、ハーブ、スパイスなどを思わせる香り、渋みや苦みを含んだ独特の風味、奥行きのある味わいは、まさに太陽の恵みの結晶と言えるでしょう。
生産地

注目のワイン産地、オレゴン:冷涼な気候が育むエレガントな味わい

アメリカ合衆国、西海岸の北部に位置するオレゴン州は、近年ワインの産地として世界中から熱い視線を浴びています。雄大な太平洋に面し、北にワシントン州、南にカリフォルニア州というアメリカを代表するワイン産地を抱くオレゴン州は、美しい自然と冷涼な気候が最大の特徴です。 この地のワイン造りの歴史は比較的新しく、1960年代に始まりました。それでも、世界的に認められる高品質なワインを生み出すようになった背景には、オレゴン州特有の豊かな自然環境があります。 オレゴン州は、火山活動によって形成された肥沃な土壌に恵まれています。そして、太平洋から吹き込む冷涼な風と、夏は温暖で日照時間が長く、秋は冷涼で乾燥するという気候条件が、ブドウ栽培に最適な環境を作り出しています。 特に、オレゴン州はピノ・ノワール種の栽培に適しているとされ、そのエレガントで繊細な味わいのワインは、世界中のワイン愛好家を魅了しています。 豊かな自然と、高品質なワイン造りへの情熱が融合したオレゴン州。今後の更なる発展に、世界中の期待と注目が集まっています。
生産地

知られざる銘醸地、オルメアスコ・ディ・ポルナッシオの魅力

イタリアワインの魅力は、その多様性に富んだ味わいにあります。有名な産地だけでなく、あまり知られていない地域にも、個性的なワインを生み出す素晴らしい環境が存在しています。 イタリア北西部、フランスとの国境近くに位置するオルメアスコ・ディ・ポルナッシオも、そんな隠れた銘醸地のひとつです。リグーリア州東部に位置するこの地域は、温暖な気候と水はけの良い石灰質土壌に恵まれ、古くから高品質なワイン造りが行われてきました。 特に、この地で栽培される土着品種「ヴェルメンティーノ・ネーロ」から造られる赤ワインは、濃厚な果実味と力強いタンニンが特徴です。豊かな香りと深いコクは、地元の伝統料理との相性も抜群です。 近年では、オルメアスコ・ディ・ポルナッシオのワインは、その品質の高さから国際的にも注目を集め始めています。しかし、大量生産は行われておらず、今もなお昔ながらの製法で丁寧にワイン造りが行われています。 まだ見ぬイタリアワインの魅力を探求したいという方は、ぜひオルメアスコ・ディ・ポルナッシオのワインを味わってみてください。きっと、その奥深い味わいに魅了されることでしょう。
生産地

オルトレポ・パヴェーゼ:ロンバルディアの銘醸スパークリングワイン

イタリアと聞けば、多くの人はローマやフィレンツェといった歴史的な都市や、太陽が降り注ぐ南部のリゾート地を思い浮かべるでしょう。しかし、イタリア北部に位置するロンバルディア州も、独自の文化と豊かな自然に恵まれた魅力的な地域です。特に州都ミラノは、イタリア経済の中心地として世界的に知られています。 しかし、ロンバルディアの魅力は都会だけにとどまりません。州南西部に広がる丘陵地帯、オルトレポ・パヴェーゼは、古くからブドウ栽培が盛んなワインの産地として知られています。この地域は、肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれ、個性豊かなワインを生み出しています。中でも近年、世界中のワイン愛好家から注目を集めているのが、瓶内二次発酵によって造られる高品質な発泡ワインです。 この地域で造られる発泡ワインは、きめ細やかな泡立ちと、フレッシュでフルーティーな味わいが特徴です。シャンパーニュ地方と同じ瓶内二次発酵という伝統的な製法を用いながらも、使用するブドウ品種や土壌の違いによって、独自の個性を表現しています。 ロンバルディアは、美食の地としても知られています。オルトレポ・パヴェーゼ産のワインは、この地域の豊かな食材を使った料理との相性が抜群です。 都会の喧騒を離れ、美しい自然と美味しいワインを求めて、ロンバルディアを訪れてみてはいかがでしょうか。
生産地

注目の白ワイン!オルトレポ・パヴェーゼ・ピノ・グリージョ

イタリアと聞くと、多くの方が情熱的な赤ワインを思い浮かべるのではないでしょうか。トスカーナの太陽を浴びたキャンティ、ピエモンテの力強いバローロやバルバレスコなど、その味わいは実に多様です。しかし、忘れてはならないのが、イタリアは世界屈指の白ワインの産地でもあるということです。今回は、数あるイタリアワインの中でも、ロンバルディア州のパヴィア県で造られる「オルトレポ・パヴェーゼ・ピノ・グリージョ」をご紹介します。 このワインは、イタリア北部、アルプス山脈の麓に広がる丘陵地で育まれたピノ・グリージョという葡萄から造られます。この地域は、昼夜の寒暖差が大きく、葡萄栽培に最適な環境です。霧の発生しやすい気候は、葡萄に独特の風味を与え、フレッシュな果実香とミネラル感あふれる、キリッとした味わいのワインを生み出します。 オルトレポ・パヴェーゼ・ピノ・グリージョは、その上品な香りと味わいで、近年注目を集めているワインです。魚介類を使ったパスタや risotto 、軽めの肉料理との相性が抜群で、イタリアの陽気な太陽と豊かな自然を感じさせる食卓を演出してくれるでしょう。これまでイタリアワインといえば赤ワインを選んでいた方も、この機会にぜひ、北イタリアの隠れた名品、オルトレポ・パヴェーゼ・ピノ・グリージョを試してみてはいかがでしょうか。
生産地

知られざる銘醸地!Oltrepò Paveseを探求

イタリアでワインの生産地として有名なのは、トスカーナ州やピエモンテ州などが挙げられます。しかしながら、実はロンバルディア州にも、知る人ぞ知る魅力的なワインの産地が存在するのです。今回は、そんな隠れた名産地の一つである「オルトレポ・パヴェーゼ」をご紹介しましょう。 「オルトレポ・パヴェーゼ」は、ファッションの中心地として名高いミラノから南に位置する、パヴィア県にあります。緩やかな丘陵地帯が広がるこの地域は、美しい景色が広がり、訪れる人々を魅了しています。 「オルトレポ・パヴェーゼ」の最大の特徴は、土壌にあります。この地域の土壌は、古代に存在した海の堆積物によって形成されました。そのため、ミネラルが豊富で、ブドウ栽培に最適な環境です。「オルトレポ・パヴェーゼ」で栽培されるブドウ品種は、赤ワイン用には、 Barbera(バルベーラ)、Croatina(クロアティーナ)、Uva Rara(ウヴァ・ラーラ)、白ワイン用には、Riesling Italico(リースリング・イタリコ)、Moscato(モスカート)、Pinot Grigio(ピノ・グリージョ)など、多岐に渡ります。 中でも特筆すべきは、「オルトレポ・パヴェーゼ」の赤ワインに使用される、土着品種のCroatina(クロアティーナ)です。Croatina(クロアティーナ)は、しっかりとした酸味とタンニンが特徴で、長期熟成にも向く、力強い味わいのワインを生み出します。近年では、その品質の高さから、イタリア国内外で注目を集めています。 「オルトレポ・パヴェーゼ」は、まだあまり知られていないワイン産地ですが、その美しい景色と、個性的なワインは、きっとあなたを満足させてくれるでしょう。
生産方法

ワイン造りの基礎知識:オリ引きとは?

黄金色に輝く白ワイン、ルビーのように艶やかな赤ワイン。その美しさは、実は多くの工程を経て生まれます。ワイン造りの初期段階では、ワインは決して透き通ってはいません。むしろ、ぶどうの果皮や種、酵母など、さまざまな物質が混ざり合い、濁っているのが一般的です。この濁りの原因となる物質を「澱(おり)」と呼びます。 澱には、ぶどう由来のものと、醸造過程で生じるものがあります。ぶどう由来の澱には、果皮や種、果梗などが挙げられます。これらの成分は、ワインにタンニンや色素、香りを与える役割を果たしますが、同時に濁りの原因にもなります。一方、醸造過程で生じる澱には、酵母やタンパク質、酒石酸などが挙げられます。酵母はアルコール発酵に欠かせない微生物ですが、発酵が進むにつれて死滅し、澱として沈殿します。タンパク質は、ぶどうの果肉に含まれる成分で、熱によって変性し、濁りの原因となります。酒石酸は、ぶどうに含まれる酸の一種で、ワインの熟成中に結晶化し、澱として沈殿します。 これらの澱は、ワインの味わいや香りに悪影響を与える可能性があります。そのため、ワイン造りでは、澱を取り除くための様々な工程が施されます。澱引きや濾過といった工程を経て、濁りのない美しいワインが完成するのです。
生産方法

ワインのオリ:その正体と役割

ワインを愛好する方であれば、グラスの底や、時にはボトルの底に沈んでいる澱を見かけたことがあるかもしれません。澱は一見、濁りや不純物のように思えるかもしれませんが、実際はワインの品質とは無関係です。むしろ、ワインが長い年月を経て熟成してきた証であり、深い味わいと複雑な香りを生み出す要素の一つと言えるでしょう。 澱は主に、ワインの熟成過程で生成される成分によって構成されています。例えば、赤ワインの場合、ブドウの果皮や種子に含まれるタンニンや色素が結合し、時間をかけて大きく成長することで沈殿していきます。一方、白ワインでは、酒石酸と呼ばれる成分が結晶化し、キラキラと輝く澱となることがあります。 澱はワインの味わいに直接影響を与えることはほとんどありませんが、その存在はワインに複雑さや深みを与えると言われています。熟成したワインに見られる澱は、長い時間をかけて変化してきたワインの歴史を物語るものであり、その豊かな風味を楽しむためのスパイスのような役割を果たしていると言えるでしょう。
テイスティング

ワインのオフフレーバー:知っておきたい香りの落とし穴

ワインを愛飲する方なら、その芳醇な香りに魅了されることでしょう。しかし、時折、不快な香りがワイン本来の味を損ねてしまうことがあります。それが「オフフレーバー」と呼ばれるものです。 オフフレーバーとは、ワインが本来持つべきではない、好ましくない香りのことを指します。 これは、ワインの製造工程や保管方法など、様々な要因によって生じます。オフフレーバーの原因は大きく分けて二つあります。一つ目は、ブドウの栽培や収穫、醸造過程における問題です。例えば、病気にかかったブドウを使用したり、醸造過程で雑菌が混入したりすると、オフフレーバーが発生する可能性があります。二つ目は、ワインの保管状態が悪い場合です。高温多湿の場所に保管したり、日光に長時間当てたりすると、ワインが劣化し、オフフレーバーの原因となります。オフフレーバーを予防するには、ワインの製造工程における衛生管理を徹底することが重要です。また、適切な温度と湿度で保管することも大切です。具体的には、直射日光を避け、温度変化の少ない冷暗所を選びましょう。最適な保管温度は12~14度と言われています。 また、コルクが乾燥すると空気中の酸素が入り込みやすくなるため、横に寝かせて保管することでコルクを湿らせておくことも有効です。オフフレーバーは、一度発生してしまうと完全に取り除くことは難しいとされています。しかし、適切な知識と注意を払うことで、そのリスクを大幅に減らすことができます。愛するワインを最高の状態で楽しむために、オフフレーバーについて理解を深めていきましょう。
気候

ワインの当たり年、外れ年?オフ・ヴィンテージを知る

ワインの原料となるブドウは、他の農作物と同様に、その年の天候に大きく影響を受けます。太陽の光を浴びて育つブドウにとって、日照時間は味わいを左右する重要な要素です。太陽の光をたっぷり浴びたブドウからは、果実味あふれる、豊かな味わいのワインが生まれます。反対に、日照時間が短いと、ブドウは十分に熟すことができず、酸味が強く、味わいの薄いワインになってしまうことがあります。 また、雨が少ない年は、ブドウの果実中の水分量が少なくなるため、糖度が凝縮されやすくなります。 糖度の高いブドウからは、アルコール度数が高く、濃厚な味わいのワインができます。しかし、だからといって、雨が全く降らない方が良いというわけではありません。ブドウの生育には、適度な雨も必要不可欠です。雨が降ることで、土壌に水分が供給され、ブドウは必要な栄養分を吸収することができます。 このように、ワイン造りにおいて天候は非常に重要な要素であり、毎年異なる天候条件が、それぞれのワインに個性や多様性を与えていると言えるでしょう。そして、それがワインをより一層魅力的なものにしているのです。
テイスティング

ワインの香りの落とし穴:オフ・フレーバー

ワインの魅力は、その奥深い味わいに加え、私たちを魅了する多様な香りにもあります。みずみずしい果実を連想させる爽やかな香りや、芳醇な樽熟成から生まれるバニラのような甘い香りは、まさに五感を刺激する体験と言えるでしょう。そして、こうした香りは、ブドウの品種や産地、作り手のこだわりによって、千差万別の個性を生み出します。 しかし、時にワインからは、期待していたものとは異なる香りが感じられることがあります。それは、「オフ・フレーバー」と呼ばれる、ワインの欠陥臭かもしれません。オフ・フレーバーは、ブドウの栽培段階から醸造、保管に至るまで、様々な要因で発生します。例えば、湿った段ボールのようなカビ臭は、ブドウがカビに侵されたり、保管状態が悪かったりすることなどが原因として考えられます。また、ツンとする刺激臭は、ワインの酸化が進んでいたり、揮発性の酸が発生していたりすることを示唆している可能性があります。 ワインの香りは、そのワインの品質を見極める重要な要素です。心地よい香りは、私たちに至福のひとときを与えてくれますが、「あれ?何か変だな」と感じる香りは、そのワインが本来持つポテンシャルを十分に発揮できていないサインかもしれません。
生産方法

革新的醸造法! オスモス・インヴァースとは?

お酒の世界では、日々新しい技術や製法が生み出されています。その中でも近年、特にワインの分野で注目を集めているのが「浸透圧逆転法」と呼ばれる醸造法です。まだ耳慣れない言葉かもしれませんが、ワインの味わいを大きく変える可能性を秘めた、革新的な技術と言えるでしょう。 浸透圧逆転法とは、簡単に言うと、水とその他成分を分離する特殊な膜を使い、ワインの成分を調整する技術のことです。この膜は、水分子だけを通し、糖分や酸、風味成分などは通さないという特徴を持っています。 従来の醸造法では、ブドウの出来がワインの味わいを大きく左右していました。しかし、浸透圧逆転法を用いることで、天候に左右されることなく、ワインの糖度、酸味、渋味などを自由に調整することが可能になります。例えば、ブドウの糖度が低い年には、浸透圧逆転法で水分だけを取り除き、糖度を凝縮することで、濃厚でリッチなワインを造ることができます。 また、この技術は、ワインの品質向上だけでなく、低アルコールワインの製造など、新たな可能性も開拓しています。近年、健康志向の高まりから、低アルコール飲料の人気が高まっていますが、浸透圧逆転法を用いれば、ブドウ本来の風味を損なうことなく、アルコール度数を調整したワインを造ることが可能になります。 まだ発展途上の技術ではありますが、浸透圧逆転法は、これからのワイン造りを大きく変える可能性を秘めています。今後、この技術によって、今までにない、全く新しい味わいのワインが生まれるかもしれません。
生産地

ブルゴーニュの至宝:オスピス・ド・ボーヌ

フランスの中東部に位置するブルゴーニュ地方のボーヌという街に、「オスピス・ド・ボーヌ」と呼ばれる歴史的な建物があります。その歴史は古く、15世紀にまで遡ります。当時、ヨーロッパでは百年戦争が終結したものの、その後もペストの大流行などにより、社会は混乱を極め、多くの人々が貧困と病に苦しんでいました。そのような時代背景の中、苦しむ人々に救いの手を差し伸べるべく、この施療院は設立されました。当時の人々にとって、オスピス・ド・ボーヌはまさに希望の光であったことでしょう。建物の屋根には、色鮮やかなモザイク模様の瓦が使用されており、その美しさは見る者を圧倒します。現在、オスピス・ド・ボーヌは博物館として一般公開されており、中世の面影を残す建物の中で、当時の医療器具や絵画などを見ることができます。展示を通して、当時の医療や人々の暮らしを垣間見ることができます。
道具

革新的な熟成:オクソライン・ラックとは

ワインを熟成させると、奥深い香りと味わいが生まれます。これは、ワインが時間をかけて変化していくことで、より複雑で魅力的な飲み物へと変化するためです。 ワインの熟成は、大きく分けて瓶詰め前と瓶詰め後の二つに分けられます。瓶詰め前の熟成は、主にワイン樽の中で行われます。この期間に、ワインは木樽から様々な成分を吸収し、複雑な香りを形成していきます。 樽熟成において特に重要な要素の一つに、「澱(おり)」の存在があります。澱とは、熟成中にワインの底に沈殿する、酵母やタンパク質などの微粒子のことを指します。一見すると、澱はワインの透明感を損なう不要なもののように思えるかもしれません。しかし実際には、澱はワインに豊かな風味とまろやかさを与える、重要な役割を担っています。 澱とワインを定期的に混ぜ合わせることで、さらに深みのある味わいを引き出すことができます。この作業は「シュール・リー」と呼ばれ、澱から溶け出すアミノ酸やタンパク質が、ワインにまろやかさと複雑さを加えます。その結果、より深みがあり、まろやかで複雑な味わいのワインが生まれます。 このように、澱はワインの熟成において非常に重要な役割を果たしています。澱とワインの相互作用によって、時間と共に変化し、より複雑で深みのある味わいへと変化していくのです。
生産方法

ワインの大敵!オイディウムの脅威

- オイディウムとは?ブドウの木がかかる病気の中でも、特に被害が大きいものの一つに「オイディウム」があります。 この病気は、もともと北アメリカ大陸で発生した病気でしたが、その後ヨーロッパ大陸へと伝播し、今では世界中のワイン生産者を悩ませる深刻な病気となっています。オイディウムの原因は、「ブドウべと病菌」と呼ばれるカビの一種です。 このカビは、ブドウの葉に白い粉のような斑点を作ることから、別名「うどんこ病」とも呼ばれています。 発症すると、葉の光合成が阻害され、ブドウの生育が抑制されてしまいます。 また、果実にも白い粉状のカビが生え、ひび割れを起こしたり、変形したりすることがあります。 こうなると、果実の品質は著しく低下し、ワインの風味にも悪影響を及ぼしてしまいます。オイディウムの発生しやすい条件としては、気温20~25度、湿度70~80%と、比較的温暖で湿度の高い環境が挙げられます。 そのため、日本では特に梅雨時期に発生しやすい病気として知られています。 一度発生してしまうと、胞子が風に乗って広がり、他のブドウの木にも感染していくため、早期発見と適切な対策が重要となります。