コルスの誇り、ニエルッキオを知る
ワインを知りたい
先生、「ワイン品種のニエルッキオ」って、サンジョヴェーゼと同じものなんですか?
ワイン研究家
いいところに気がつきましたね!その通りです。ニエルッキオは、イタリアのサンジョヴェーゼというブドウ品種が、コルシカ島で呼ばれている名前なんです。
ワインを知りたい
へえー!じゃあ、イタリアで有名なサンジョヴェーゼが、なんでコルシカ島で別の名前で呼ばれているんですか?
ワイン研究家
それは、昔コルシカ島がジェノバ共和国の一部だった時代に、サンジョヴェーゼのブドウが持ち込まれたことに関係しています。その後、独自の進化を遂げて、今ではニエルッキオという名前で親しまれているんですよ。
ワイン品種のニエルッキオとは。
「ワインの言葉で『ニエルッキオ』と呼ばれるブドウは、イタリアでたくさん作られている黒ブドウ『サンジョヴェーゼ』の、コルシカ島での呼び名です。濃い赤い色をしていて、赤い果実のような香りと、すっきりとした酸味が特徴です。コルシカ島で作られるブドウ全体の35%(2017年の情報では2380ヘクタール)を占める、一番多く栽培されているブドウです。コルシカ島は、もともとはジェノバという国の領土でしたが、18世紀に独立運動が起きました。ニエルッキオは、この運動が起こるより前にジェノバから持ち込まれたと考えられています。
イタリアの代表品種と深い関係
イタリアを代表する黒ブドウ品種といえば、その名も「聖なるヨハネ」を意味するサンジョヴェーゼを思い浮かべる方も多いでしょう。イタリア全土で広く栽培され、親しまれているこの品種は、実は海を渡った先にも、深い繋がりを持つ親戚がいるのです。それが、フランス領コルシカ島の主要品種であるニエルッキオです。ニエルッキオは、遺伝子的にサンジョヴェーゼと同一であることが確認されており、いわば「海を隔てた双子」のような関係と言えるでしょう。
では、なぜ同じブドウ品種が異なる名前で呼ばれているのでしょうか?その理由は、歴史の中に隠されています。古代ローマ時代、イタリア半島で広く栽培されていたサンジョヴェーゼは、その後、交易や人の移動に伴い、地中海周辺地域にも広まりました。コルシカ島に伝わったサンジョヴェーゼは、その土地の風土や気候に適応し、独自の進化を遂げたと考えられています。そして、長い年月を経て、ニエルッキオという固有の名前で呼ばれるようになったのです。このように、サンジョヴェーゼとニエルッキオは、歴史と海によって隔てられながらも、その根底には共通のルーツを持つ、非常に興味深い関係と言えるでしょう。
項目 | サンジョヴェーゼ | ニエルッキオ |
---|---|---|
主な栽培地 | イタリア全土 | フランス領コルシカ島 |
特徴 | イタリアを代表する黒ブドウ品種 | サンジョヴェーゼと遺伝子的に同一 |
関係性 | 歴史と海によって隔てられた双子のような関係 |
コルシカ島での存在感
コルシカ島といえば、地中海に浮かぶフランス領の島。温暖な気候と美しい海に恵まれたこの島は、フランス本土とはまた異なる独特の文化と歴史を育んできました。そして、その豊かな自然環境の中で、古くからワイン造りが盛んに行われてきました。数あるコルシカ島のブドウ品種の中でも、ひときわ存在感を放っているのが「ニエルッキオ」です。
ニエルッキオは、コルシカ島のブドウ畑のおよそ35%を占める、まさに島の顔ともいうべき土着品種です。2017年のデータでは、その栽培面積は2380ヘクタールにも達しました。これは、東京ドーム約500個分という広大な面積に相当します。この数字からも、コルシカ島におけるニエルッキオの重要性が理解できるでしょう。
力強いタンニンと豊かな果実味、野性味あふれる味わいが特徴のニエルッキオは、島のテロワールを表現するのに欠かせない存在となっています。太陽の光をいっぱいに浴びて育ったニエルッキオから造られるワインは、力強さの中に、どこか懐かしさを感じさせる、複雑で奥深い味わいを持ちます。それはまるで、コルシカ島の壮大な自然と、そこに暮らす人々の温かさを表現しているかのようです。
項目 | 内容 |
---|---|
ぶどう品種 | ニエルッキオ |
栽培面積 | 2380ヘクタール (2017年時点) |
特徴 | 力強いタンニンと豊かな果実味、野性味あふれる味わい |
その他 | コルシカ島のブドウ畑の約35%を占める |
味わいの特徴
ニエルッキオという品種から生まれるワインは、深いルビー色が特徴です。グラスに注ぐと、その鮮やかな赤色が光に反射し、まるで宝石のように輝きます。この美しい色合いは、飲む人の心を一瞬にして魅了することでしょう。
口に含むと、熟した赤い果実を思わせる濃厚な香りが広がります。プラムやブラックベリーを連想させる、甘やかで芳醇な味わいは、至福のひとときをもたらしてくれるでしょう。しかし、甘さに偏ることなく、生き生きとした酸味が全体を引き締めているのがニエルッキオワインの最大の特徴です。この絶妙なバランスこそが多くの人を魅了する理由と言えるでしょう。
しっかりとした骨格を持ちながらも、どこか親しみやすい味わいは、様々な料理との相性を想像させます。肉料理はもちろんのこと、チーズやパスタなど、幅広い料理と楽しむことができるでしょう。ニエルッキオワインは、その奥深い味わいと多様性で、多くの人を魅了し続ける、魅力あふれるワインと言えるでしょう。
特徴 | 詳細 |
---|---|
色 | 深いルビー色 |
香り | 熟した赤い果実(プラム、ブラックベリーなど) |
味 | 甘やかで芳醇、生き生きとした酸味、しっかりとした骨格 |
相性 | 肉料理、チーズ、パスタなど |
歴史を紐解く
ニエルッキオの歴史は、18世紀以前、まだコルシカ島がジェノバ共和国の支配下にあった時代にまで遡ります。当時、ジェノバ共和国は地中海貿易の中心地として栄えており、多くの物資や文化が行き交っていました。その流れの中で、ニエルッキオもまた、ジェノバからコルシカ島へと伝わったと考えられています。
当時の記録は多く残っていませんが、ニエルッキオは持ち込まれた当初から、その力強い味わいと個性的な香りで人々を魅了したに違いありません。そして、厳しい環境ながらも豊かな自然に恵まれたコルシカ島の土地で、ゆっくりと時間をかけてその根を下ろしていきました。
18世紀後半、コルシカ島は独立を目指して激しい戦いの渦中に巻き込まれます。激動の時代、人々の生活は混乱し、多くのものが失われていきました。しかし、そんな苦難の時代にあっても、ニエルッキオへの愛着は決して失われることはありませんでした。人々は、変わらぬ味と香りを持つニエルッキオを飲み続けることで、心の平穏を保ち、希望を繋ぎ止めていたのかもしれません。
こうして、幾多の苦難を乗り越え、人々に愛されながら現代まで受け継がれてきたニエルッキオ。その深い味わいと歴史は、まさにコルシカ島の歩みそのものと言えるでしょう。
時代 | ニエルッキオの歴史 |
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18世紀以前 | ジェノバ共和国からコルシカ島に伝わる。力強い味わいと個性的な香りで人々を魅了した。 |
18世紀後半 | コルシカ島の独立戦争期。混乱期にも人々に愛飲され、希望を繋ぎ止める存在であった。 |