聖なる香りを持つワイン？ルーマニア固有品種「タマイオアサ・ロマネアスカ」の魅力

聖なる香りを持つワイン？ルーマニア固有品種「タマイオアサ・ロマネアスカ」の魅力

古代から愛されるルーマニアのブドウ

ワイン発祥の地の一つとして知られるルーマニアには、古くから愛されてきた由緒あるブドウ品種が存在します。その名は「タマイオアサ・ロマネアスカ」。ルーマニア語で「ルーマニアの聖なる香り」という意味を持ちます。この名前に違わず、グラスから溢れ出すような華やかで芳醇な香りが最大の特徴です。
2000年以上も前に遡るルーマニアの歴史の中で、人々は特別な日にこのブドウから作られたワインを楽しみ、日々の暮らしに彩りを添えてきました。その味わいは、長い年月を経てもなお、人々を魅了し続けています。現代でも、ルーマニア国内で最も多く栽培されている品種であり、「タマイオアサ・ロマネアスカ」はまさにルーマニアを代表するブドウと言えるでしょう。

多様な味わいを生み出すブドウ

「玉響」という美しい和名を持つブドウ、タマイオアサ・ロマネアスカ。その最大の魅力は、多彩な味わいを生み出すポテンシャルにあると言えるでしょう。9月上旬から10月中旬にかけてと、比較的長い期間に渡って収穫が行われますが、これは味わいの幅を広げる上で重要な要素となっています。
収穫のタイミングを調整することで、ブドウの糖度をコントロールすることができるのです。
例えば、 early pickingと呼ばれる収穫時期を早めることで、キリッとした酸味とフレッシュな果実味が際立つ辛口のワインに仕上がります。
反対に、収穫時期を遅くすることで、ブドウの糖度は高まり、とろけるような甘みを持ったワインを生み出すことができます。
タマイオアサ・ロマネアスカは、糖度が最大で270g/L以上にもなることがあり、これはあの有名な貴腐ワインに匹敵する甘口ワインを生み出す可能性を秘めていると言えるでしょう。
このように、タマイオアサ・ロマネアスカは、栽培方法や収穫時期によって、様々な表情を見せる奥深いブドウ品種なのです。

個性的な香りのヒミツ

グラスに注ぐと、たちまち華やかで複雑な香りが広がり、このワインの大きな魅力となっています。ライチやバラを思わせる華やかさに加え、オレンジの皮のような爽やかな香りも感じられます。そして、蜂蜜やスパイスを思わせる、奥行きのある香りも楽しむことができます。この複雑な香りは、ルーマニアの温暖な気候と豊かな土壌によって生まれます。ブドウは太陽の光を浴びて熟し、土壌から栄養をたっぷりと吸収することで、素晴らしいポテンシャルを発揮するのです。口に含めば、芳醇な香りに包まれ、幸せなひとときを過ごすことができるでしょう。

希少価値の高いブドウ

ワインの世界において、希少なブドウ品種から造られるワインは、特別な魅力を放ちます。ルーマニアが原産の「タマイオアサ・ロマネアスカ」も、そんな希少価値の高いブドウ品種の一つです。
世界的に見ても、その栽培面積は限られており、ワイン生産量も決して多くありません。ルーマニア国内においても、タマイオアサ・ロマネアスカの栽培面積は約1668ヘクタールと、国土全体から見ればごくわずかな地域に限られています。
この希少性こそが、タマイオアサ・ロマネアスカの魅力と言えるでしょう。他のワイン産地ではなかなかお目にかかれないため、ワイン愛好家たちの間で、特別な存在として珍重されています。
近年では、その品質の高さから、国際的なワインコンテストでも注目を集め始めています。ルーマニアの伝統的な醸造方法と、このブドウ特有の風味が見事に調和した、個性的なワインを生み出しています。
まだあまり知られていない、ルーマニアの伝統と情熱が詰まった、個性的なワインを、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか？ きっと、その奥深い味わいに魅了されることでしょう。