スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ：濃厚ながらもフレッシュな味わいを持つ「山のワイン」

スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ：濃厚ながらもフレッシュな味わいを持つ「山のワイン」

イタリア北部ロンバルディア州の銘酒

イタリア北部、雄大なアルプス山脈を望むロンバルディア州。その山岳地帯であるヴァルテッリーナで、特別な赤ワインが産み出されます。その名は「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」。イタリアワインの最高等級であるDOCGの称号を与えられた、まさに銘酒と呼ぶにふさわしいワインです。

このワインを生み出すブドウは、ヴァルテッリーナの険しい山岳地帯で栽培されます。太陽の光を浴びる日中は暖かくても、夜は冷え込むため、昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。この厳しい環境が、ブドウに凝縮した旨味と豊かな香りを与えます。収穫されたブドウは、伝統的な方法で乾燥させ、さらに熟成されます。

こうしてできるスフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、力強い味わいと、どこか繊細さを感じさせる複雑な香りが特徴です。熟した果実を思わせる濃厚な香りに、スパイスやドライフルーツのニュアンスが重なり合い、奥行きのある味わいを生み出します。力強さの中にも、どこか優しさを感じさせる、まさにロンバルディアの大自然が育んだ奇跡のワインと言えるでしょう。

陰干しブドウが生み出す独特の風味

イタリア北部の山岳地帯、ヴァルテッリーナで造られるスフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ。その最大の特徴は、収穫したブドウを陰干ししてから醸造するという、伝統的な製法にあります。
太陽の光と風によってじっくりと乾燥させるこの工程は、単なる乾燥ではなく、ブドウの果実味を凝縮させるための重要な鍵となります。
収穫したブドウは、風通しの良い屋根裏部屋や専用の小屋で、藁や木製の棚に一枚ずつ丁寧に並べられます。そして、秋から冬にかけての約3ヶ月間、ゆっくりと自然乾燥させていきます。この間、ブドウの水分はおよそ30％も減少し、その分、糖度や酸味、アロマなどの成分が凝縮されていきます。
こうして生まれた陰干しブドウは、まるで宝石のように輝きを放ち、濃厚で複雑な味わいのワインを生み出す源となります。 凝縮された甘味と力強いコク、そしてドライフルーツやスパイスを思わせる芳醇な香りは、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナならではの魅力と言えるでしょう。

力強さと爽やかさの絶妙なバランス

陰干ししたブドウを使うと、凝縮された濃厚な味わいのワインが出来上がります。しかし、このスフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、ただ濃厚なだけではありません。「山のワイン」と称される所以は、その力強い味わいの奥に、フレッシュな酸味と果実味が確かに息づいているからです。 まるでアルプスの厳しい環境の中で育まれたブドウが、その生命力をワインに吹き込んだかのようです。一口飲めば、まず力強い味わいが口の中いっぱいに広がります。しかし、その後を追うように、爽やかな酸味と果実の香りが鼻を抜け、心地よい余韻を残します。このような力強さと爽やかさの完璧なハーモニーは、まさに職人技の賜物と言えるでしょう。 長年に渡り、この土地でワイン造りに情熱を注いできた人々のたゆまぬ努力と、その土地ならではの気候風土が見事に融合した、まさに奇跡の一本と言えるでしょう。

キアヴェンナスカ種が織りなす味わい

イタリア北部、雄大なアルプス山脈の麓に広がるヴァルテッリーナの地で、高貴なワイン「スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナ」は生まれます。このワインの味わいを語る上で欠かせないのが、「キアヴェンナスカ」というブドウ品種です。
「キアヴェンナスカ」、別名「ネッビオーロ」として、イタリアワインを語る上で最も重要な品種の一つに数えられています。その名の由来は、収穫期の晩秋に辺りを包む深い霧のように、ブドウの果皮に青みがかった濃い霧のようなものが現れることから「霧」を意味する「ネッビア」という言葉に由来すると言われています。
この高貴な品種から造られるスフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、複雑で芳醇なアロマを特徴としています。熟した果実を思わせる濃厚な香りに、バラやスミレの花束を想わせる華やかな香りが重なり合い、優雅な印象を与えます。口に含むと、しっかりとした骨格を形成するタンニンが感じられます。しかし、そのタンニンは決して荒々しいものではなく、長期熟成によって熟成したワインは、ベルベットのように滑らかで、長く続く余韻は至福のひとときを演出します。
スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、まさにイタリアワインの真髄を体現した一本と言えるでしょう。

長期熟成でさらに深まる味わい

スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、最低でも20ヶ月という長い時間をかけて熟成されてから、ようやく世に出されます。そのうちの12ヶ月間は、オーク材で作られた樽の中でじっくりと時間をかけ、大切に熟成されます。
この長い熟成期間を経ることによって、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナの味わいは、より一層まろやかになり、奥行きが増していきます。そして、ブドウの持つ複雑な香りは、さらに豊かに引き立ち、まるで長い年月をかけて熟成された芸術作品のように、深い味わいを醸し出すのです。
このように、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、ただ時間を経ただけではありません。長い時間をかけて熟成されることによって、その味わいはより深みとまろやかさを増し、至高の一本へと昇華していくのです。

美食家も唸らせる食との相性

「美食家も唸らせる食との相性」というテーマでお話しましょう。

スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、その力強い味わいが特徴です。
特に、ジビエのような濃厚な肉料理とは最高の組み合わせです。
鹿肉や猪肉など、野性的な風味を持つジビエの力強さに、このワインは決して負けません。

熟成したチーズとの相性も抜群です。
長い熟成期間を経て凝縮されたチーズの旨味と、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナの複雑な味わいが調和し、忘れられない余韻を生み出します。

このように、スフォルツァート・ディ・ヴァルテッリーナは、濃厚な料理にも負けない力強い骨格を持つワインです。
食通をもうならせる、最高のマリアージュを体験させてくれるでしょう。