ワインの味わいを決める「梗」の役割
ぶどうの甘美な味わいは、多くの人が愛してやまないものです。
私たちが普段口にしているのは、果汁が詰まった果肉の部分です。
しかし、ぶどうの実には、果肉以外にも、果皮や種子、そして「梗(こう)」と呼ばれる部分が存在します。
梗は、房の中でぶどうの実を支える、軸のような役割を果たしています。
一見すると、食べずに捨ててしまう部分のように思えるかもしれません。
しかし、ワイン造りにおいて、この梗は重要な役割を担っているのです。
梗は、ワインに複雑な香りと味わいを加える役割を果たします。
具体的には、タンニンやリグニンといった成分が含まれており、これらがワインに渋みや苦味、そしてスパイシーな風味を与えます。
これらの成分は、赤ワインに深みと複雑さを与え、長期熟成にも適したものにするために欠かせません。
しかし、梗の量や処理方法によっては、ワインに青臭さや渋みが強くなりすぎる場合があります。
そのため、ワインのスタイルやぶどうの品種、収穫年の気候などに応じて、梗をどの程度残すか、どのように処理するかが、醸造家の腕の見せ所となります。
近年では、梗を全く使用しない「除梗」という方法や、一部だけを使用する「部分除梗」といった方法も取り入れられるようになっています。
このように、梗はワインの味わいを左右する重要な要素であり、その取り扱い方によって、ワインの個性は大きく変化すると言えるでしょう。