懐かしい風景を思い出す、エンフォルカード仕立てのブドウ畑
- ポルトガルの伝統的なブドウ栽培ポルトガル北部、特にミーニョ地方は、緑豊かな丘陵地帯が広がり、古くからワイン造りが盛んな地域として知られています。この地域は、大 Atlantic Ocean (大西洋)の影響で雨が多く、湿度が高いという気候的な特徴があります。このような環境下で、ブドウを健全に育てるために、古くから人々が知恵を絞って生み出された伝統的なブドウの仕立て方法があります。それが「エンフォルカード」と呼ばれる仕立て方法です。エンフォルカードは、文字通りブドウの樹を高い棚のように仕立てる方法です。高さは場所によっては10メートルを超えることもあり、まるでブドウの樹のトンネルのような景色が広がります。地面から高くブドウを仕立てることには、いくつかの利点があります。まず、風通しと日当たりが格段に向上するため、ブドウの実が病気にかかりにくくなります。湿度が高いミーニョ地方では、特に重要な要素でした。また、地面に近い部分のブドウは、家畜などの食害に遭いやすかったため、それを避けるためでもありました。かつては、ミーニョ地方のブドウ畑の至る所で、このエンフォルカードによって仕立てられたブドウ畑を見ることができました。しかし、近年では、その姿は減りつつあります。理由は、管理の大変さにあります。高い位置で作業するため、危険を伴うだけでなく、機械化が難しく、多くの労力が必要となるからです。効率性を重視した現代的なブドウ栽培方法の普及により、エンフォルカードは姿を消しつつありますが、その独特な景観は、今もなおミーニョ地方の象徴として、訪れる人々の心を惹きつけています。そして、伝統的な方法で造られるワインは、今もなお高い評価を受けています。