「エ」

生産方法

懐かしい風景を思い出す、エンフォルカード仕立てのブドウ畑

- ポルトガルの伝統的なブドウ栽培ポルトガル北部、特にミーニョ地方は、緑豊かな丘陵地帯が広がり、古くからワイン造りが盛んな地域として知られています。この地域は、大 Atlantic Ocean (大西洋)の影響で雨が多く、湿度が高いという気候的な特徴があります。このような環境下で、ブドウを健全に育てるために、古くから人々が知恵を絞って生み出された伝統的なブドウの仕立て方法があります。それが「エンフォルカード」と呼ばれる仕立て方法です。エンフォルカードは、文字通りブドウの樹を高い棚のように仕立てる方法です。高さは場所によっては10メートルを超えることもあり、まるでブドウの樹のトンネルのような景色が広がります。地面から高くブドウを仕立てることには、いくつかの利点があります。まず、風通しと日当たりが格段に向上するため、ブドウの実が病気にかかりにくくなります。湿度が高いミーニョ地方では、特に重要な要素でした。また、地面に近い部分のブドウは、家畜などの食害に遭いやすかったため、それを避けるためでもありました。かつては、ミーニョ地方のブドウ畑の至る所で、このエンフォルカードによって仕立てられたブドウ畑を見ることができました。しかし、近年では、その姿は減りつつあります。理由は、管理の大変さにあります。高い位置で作業するため、危険を伴うだけでなく、機械化が難しく、多くの労力が必要となるからです。効率性を重視した現代的なブドウ栽培方法の普及により、エンフォルカードは姿を消しつつありますが、その独特な景観は、今もなおミーニョ地方の象徴として、訪れる人々の心を惹きつけています。そして、伝統的な方法で造られるワインは、今もなお高い評価を受けています。
生産方法

天使の分け前:熟成酒の神秘

ウイスキーやブランデー、芳醇なワインなど、熟成されたお酒は、長い年月をかけて樽の中で眠ることで、複雑な風味と香りを醸し出します。そして、この熟成期間中に起こる不思議な現象の一つに、「天使の分け前」という言葉があります。 「天使の分け前」とは、熟成中にアルコールや水分が自然に蒸発し、お酒の量が減ってしまう現象のことを指します。これは、お酒が樽の中で静かに眠っている間にも、外の世界と微かな呼吸を交わしている証なのです。 樽は、完全に密閉されているわけではありません。木でできた樽は、微細な隙間から、ゆっくりと空気を通しています。そして、この空気とのやり取りの中で、熟成が進むにつれてアルコールや水分が少しずつ蒸発していくのです。蒸発する量は、熟成環境の温度や湿度、保管場所などによって異なり、一般的には年間で数%程度と言われています。 まるで天使たちが、その芳醇な香りに誘われて、少しずつお酒を味わっているかのように、目に見えないところで量が減っていくことから、「天使の分け前」と呼ばれるようになったのでしょう。この言葉には、長い年月をかけて熟成されたお酒への愛着と、少しだけ惜しまれる気持ちも込められているのかもしれません。
生産方法

ワインの「エルヴァージュ」:静かなる熟成の魔法

- ワイン造りの隠れた立役者ワイン造りといえば、ブドウが持つ豊かな甘みが、酵母によってアルコールと炭酸ガスへと変化する、活気あふれる発酵の工程を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、発酵という華やかな舞台の陰で、静かに、そして着実にワインに深い味わいを刻み込んでいく重要な工程が存在します。それが、フランス語で「エルヴァージュ」と呼ばれる熟成期間です。エルヴァージュは、発酵を終えたワインを樽やタンクの中でじっくりと時間をかけて寝かせる工程です。この間、ワインはゆっくりと呼吸をするように、周囲の環境と溶け合いながら、その個性と奥行きを育んでいきます。まるで、原石が熟練の職人の手によって研磨され、輝きを増していくように、エルヴァージュは、ワインに命を吹き込み、真の価値を引き出す、まさに「隠れた立役者」と言えるでしょう。熟成期間の長さや環境は、ワインの品種や造り手の目指す味わいに応じて、それぞれ異なります。例えば、白ワインは比較的短い期間で、赤ワインはより長い期間をかけて熟成させるのが一般的です。また、使用する樽の種類や大きさによっても、ワインに与える影響は大きく変化します。エルヴァージュは、ワイン造りの最終章であると同時に、次の物語の始まりでもあります。長い年月を経て、深い眠りから目覚めたワインは、私たちに深い感動と至福のひとときを与えてくれることでしょう。
生産地

銘醸地エルミタージュ:力強い味わいを生む険しい丘の恵み

ワイン愛好家の皆様なら、「エルミタージュ」という名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 フランスはローヌ地方の北部、コート・デュ・ローヌに位置するこの地は、わずか134ヘクタールという限られた面積ながら、世界にその名を轟かせる銘醸地です。 なぜ、それほどまでにエルミタージュのワインは人々を魅了するのでしょうか? エルミタージュの最大の特徴は、その険しい地形にあります。急斜面に広がるブドウ畑は、太陽の光をいっぱいに浴びることができるため、ブドウは凝縮した果実味と豊かな香りを蓄えます。 また、水はけの良い花崗岩土壌は、ブドウの生育に最適な環境を提供します。 こうして育まれたブドウから生まれるワインは、力強さと気品を兼ね備えています。 濃厚な果実味と、スパイシーで力強いタンニン、そして長い余韻は、まさにエルミタージュならではの魅力と言えるでしょう。 特に、赤ワインの主要品種であるシラー種から造られるワインは、その力強さと複雑さで世界中のワイン愛好家を虜にしています。 エルミタージュのワインは、まさに限られた区画から生まれる高貴なワインと言えるでしょう。
品種

エルバルーチェ・ディ・カルーゾ:ピエモンテの隠れた宝石

イタリア北西部に位置するピエモンテ州は、豊かな自然と伝統的な文化が息づく美しい場所として知られています。中でも、この地で育まれたワインは世界中の愛好家を魅了してやみません。バローロやバルバレスコなど、誰もがその名を耳にしたことがあるであろう銘醸ワインを生み出すピエモンテ州は、まさにイタリアワインの聖地と言えるでしょう。 そのピエモンテ州の中でも、ひっそりと、しかし確実にその名を知られているワインがあります。今回ご紹介する「エルバルーチェ・ディ・カルーゾ」がそれです。エルバルーチェとは、イタリア語で「輝く草」を意味します。その名の通り、このワインは、太陽の光をいっぱいに浴びて育ったブドウの、力強くも繊細な味わいが特徴です。 ピエモンテ州の伝統的なブドウ品種であるバルベーラ種を100%使用し、丁寧に醸造されたエルバルーチェ・ディ・カルーゾは、豊かな果実味と、程よい酸味が絶妙なバランスを奏でます。口に含んだ瞬間に広がる芳醇な香りは、まるでピエモンテの豊かな自然をそのまま閉じ込めたかのようです。 普段の食事のお供としてはもちろんのこと、特別な日の食卓にも華を添えてくれるでしょう。ぜひ、この機会に、ピエモンテの隠れた名品「エルバルーチェ・ディ・カルーゾ」の魅力に触れてみてください。
生産地

美食の宝庫!エミリア・ロマーニャのワイン

イタリア北部、広大なパダーナ平野に位置するエミリア・ロマーニャ州は、温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、古くから農業が盛んな地域として知られています。特にブドウ栽培が盛んで、そこで生まれるワインはイタリア国内でもトップクラスの生産量を誇ります。数あるワイン生産地の中でも、エミリア・ロマーニャ州は常に上位5位以内に入るほどの重要な産地として知られています。州全体で様々な種類のワインが造られていますが、その中でも特に有名なのが、ランブルスコと呼ばれる微発泡性の赤ワインです。このランブルスコは、心地よい酸味とほのかな甘みが特徴で、地元の人々からは食前酒として親しまれています。 エミリア・ロマーニャ州のワイン造りの歴史は非常に古く、古代ローマ時代からブドウ栽培が行われていたと言われています。長い歴史の中で培われた伝統的な技術と、最新の醸造技術が融合し、高品質なワインが生み出されています。この地域で造られるワインは、その土地の豊かな自然と人々の情熱が詰まった、まさにイタリアを代表する逸品と言えるでしょう。
生産地

美食とワイン天国!エミリア・ロマーニャの魅力

イタリア半島の中部に位置するエミリア・ロマーニャ州は、肥沃な大地と温暖な気候に恵まれた「イタリアの美食の宝庫」として知られています。 この地では、古くから人々が自然と共存し、伝統的な食文化を育んできました。 太陽の光をたっぷり浴びて育った野菜や果物、広大な牧草地で育った乳牛から作られるチーズ、そして、職人の技によって丁寧に作られた生ハムやワインなど、挙げればきりがありません。 中でも特に有名なのが、「プロシュート・ディ・パルマ」と呼ばれる生ハムです。 これは、豚のもも肉を塩漬けにして、長い時間をかけて熟成させたもので、その芳醇な香りととろけるような舌触りは、まさに絶品です。 また、「パルミジャーノ・レッジャーノ」も、この地方を代表するチーズです。 牛乳から作られるこのチーズは、最低でも1年以上、長いものでは3年以上も熟成させて作られます。 その濃厚な旨味とコクは、料理に深みを与え、世界中のチーズ愛好家を魅了し続けています。 さらに、忘れてはならないのが「バルサミコ酢」です。 ブドウの果汁を煮詰めて、木樽で長期間熟成させることで、独特の甘酸っぱい香りとコクが生まれます。 サラダや肉料理の味付けに少量加えるだけで、風味がぐっと増すことから、料理愛好家の間でも高く評価されています。 このように、エミリア・ロマーニャ州は、豊かな自然と伝統的な食文化が織りなす魅力的な食材の宝庫と言えるでしょう。
ワインラベル

イタリアワインを知る旅:エミリアの多様性

イタリアでワインの生産地として有名なのは、トスカーナやピエモンテでしょう。多くの人がその名を聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、イタリアには、それぞれの地域で個性豊かなワインを生み出している、あまり知られていない素晴らしいワインの産地がたくさんあります。その一つが、イタリアの北部にあるエミリア・ロマーニャ州、通称エミリアと呼ばれるところです。 エミリアは、美味しい食べ物の宝庫として知られていますが、実はワイン造りにおいても、長い歴史と伝統を誇る地域なのです。 エミリアのワイン造りの歴史は、古代ローマ時代にまで遡ると言われています。温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれたこの土地は、ブドウ栽培に最適で、古くから高品質なワインを生み出してきました。特に、赤ワインの原料となるランブルスコ種のブドウの栽培が盛んで、微発泡のフルーティーな赤ワインは、地元の人々に愛されています。 近年では、伝統的な製法を守りながら、現代の技術を取り入れた高品質なワイン造りも盛んに行われています。 エミリアのワインは、豊かな果実味とまろやかな味わいが特徴で、どんな料理にも合わせやすいと評判です。また、価格もお手頃なものが多いので、日常的に楽しむワインとしてもおすすめです。 まだあまり知られていないエミリアのワインですが、その品質の高さから、近年では国際的な評価も高まっています。イタリアを訪れる機会があれば、ぜひエミリアのワインを試してみて下さい。きっと、新しい発見があるはずです。
その他

エマニュエル・ルジェ:ブルゴーニュの継承者

- 偉大な血筋エマニュエル・ルジェ氏は、ブルゴーニュ地方で最高峰の評価を受けるドメーヌ・アンリ・ジャイエを一代で築き上げた、故アンリ・ジャイエ氏を叔父に持ちます。アンリ・ジャイエ氏は、“ブルゴーニュの神様”と敬われ、そのワインは世界中の愛好家を魅了し、現在もなお、その名を轟かせています。エマニュエル・ルジェ氏は、幼い頃からこの偉大な叔父の元で多くの時間を過ごし、ワイン造りのあらゆる場面に立ち会うことで、その卓越した哲学や技術を深く吸収していきました。アンリ・ジャイエ氏の妥協を許さない徹底した葡萄栽培と、自然の力を最大限に引き出す醸造技術は、エマニュエル氏のワイン造りの根幹を成しています。叔父の教えを胸に、エマニュエル・ルジェ氏は、自らのドメーヌを立ち上げ、ブルゴーニュワインの新世代を担う存在として注目されています。彼のワインは、力強さと繊細さを兼ね備え、その深い味わいは、アンリ・ジャイエ氏の哲学を色濃く反映しています。偉大な血筋を受け継ぐエマニュエル・ルジェ氏のワインは、これからも世界中のワイン愛好家を魅了し続けることでしょう。
生産方法

ワイン造りの立役者、エノロジストの世界

ワインの世界で「エノロジスト」という言葉を耳にしたことはありますか?耳慣れない響きかもしれませんが、これは日本語で「醸造家」を意味する言葉で、ワイン造りのスペシャリストを指します。彼らは、広大なブドウ畑での栽培から、瓶に詰められ、皆さんのもとへ届けられるまでの全工程に深く関わっています。 エノロジストは、まるでオーケストラの指揮者のように、ワイン造りの全てを統括します。まず、ブドウの生育段階から目を光らせ、土壌の状態や気候の変化を見極め、最適な栽培方法を決定します。そして、収穫時期を見極めるという重要な役割も担います。収穫されたブドウは、彼らの厳しいチェックのもと、選りすぐられたものだけが次の工程へと進みます。 醸造所では、彼らの経験と知識が最大限に発揮されます。温度や湿度を管理し、酵母の働きを調整することで、求める味わいや香りを引き出すのです。熟成方法やブレンドの割合も、エノロジストの腕の見せ所と言えるでしょう。彼らは長年の経験と研ぎ澄まされた五感を頼りに、その年のブドウの個性を最大限に活かし、最高のワインを生み出すことに情熱を注いでいます。 このように、エノロジストは、一本のワインに込められた情熱と努力の結晶と言えるでしょう。
生産方法

ワイン造りの立役者、エノロゴとは?

近年、ワインの世界でよく耳にするようになった「エノロゴ」という言葉をご存知でしょうか? これはイタリア語で「醸造家」を意味し、ワイン愛好家であれば知っておいて損はない重要な言葉です。 エノロゴは、ただ単純にワインを造る職人ではありません。彼らは、ぶどうの栽培から収穫、そして醸造、瓶詰めに至るまで、ワイン造りの全ての工程に深く関わり、その品質を左右する重要な役割を担っています。 長年の経験と深い知識、そして優れた感性を持ち合わせたエノロゴは、まるで芸術家のようにワイン造りに情熱を注ぎます。彼らはまず、その年の気候条件や土壌の状態を見極め、ぶどうの生育状況を注意深く観察します。そして、収穫時期や醸造方法を決定する際には、その年のぶどうの個性を見抜き、最大限に引き出すための最良の方法を導き出します。 このように、エノロゴは、自然と対話し、その恵みを最大限に活かすことで、私たちに最高のワインを届けてくれる、まさに「ワインの創造者」と言えるでしょう。
生産地

冷涼な美しさ、エデン・ヴァレーを探る

オーストラリアと聞くと、広大な大地と燦燦と太陽が降り注ぐイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。確かに、温暖な気候で知られるオーストラリアですが、その中には、ひときわ異彩を放つワイン産地が存在します。それが、南オーストラリア州に位置するエデン・ヴァレーです。 エデン・ヴァレーは、かの有名なバロッサ・ヴァレーのすぐ隣に位置しています。しかし、バロッサ・ヴァレーよりも標高が高いため、冷涼な気候に恵まれています。そのため、同じオーストラリア産でありながら、バロッサ・ヴァレーとは全く異なる個性を持つワインが生まれます。 冷涼な気候で育つブドウは、ゆっくりと時間をかけて成熟していきます。その結果、凝縮感のある果実味と、洗練された酸味を兼ね備えた、エレガントなワインが誕生するのです。特に、冷涼な気候を好むピノ・ノワールやシャルドネといった品種は、この地で素晴らしいポテンシャルを発揮することで知られています。 近年、世界中のワイン愛好家から注目を集めるエデン・ヴァレー。その味わいは、オーストラリアワインの新たな可能性を感じさせるに違いありません。
テイスティング

ワインのエッジから熟成を見極める

- ワインのエッジとはワインをグラスに注ぐと、液体の表面がグラスの壁面に沿ってわずかに上昇し、輪を描きます。この部分を「エッジ」と呼びます。エッジは、ワインを味わう前から、そのワインの状態について多くのことを教えてくれる、重要な観察ポイントです。特に注目すべきは、エッジの色合いです。若いワインのエッジは、中心部の色とほとんど変わらず、濃い色をしています。これは、ワインに含まれる色素成分が、まだしっかりと結合しているためです。 しかし、ワインが熟成するにつれて、これらの色素成分は徐々に分解され、結合が緩んでいきます。そのため、エッジの色は次第に薄くなり、赤ワインであればレンガ色やオレンジ色に、白ワインであれば黄金色や琥珀色に変化していきます。熟成が進んだワインのエッジは、中心部との色の違いがはっきりと現れ、まるでグラデーションのように見えます。この色の変化の度合いを見ることで、ワインの熟成具合をある程度推測することができるのです。ただし、エッジの色は、ワインの品種や保管状態によっても影響を受けるため、あくまでも目安の一つとして捉えることが大切です。
ワインラベル

ワインのエチケットを読み解く

ワインを手に取ると、ボトルに貼られたラベルに目が引かれますよね。フランスやドイツでは、このラベルのことを「エチケット」と呼びます。エチケットは、単なるラベルではなく、そのワインの個性や歴史を物語る大切な要素なのです。 私たちが普段何気なく見ているエチケットには、産地や生産者、ブドウの品種、ヴィンテージなど、ワインに関する重要な情報が詰まっています。 例えば、フランスのボルドー地方のワインのエチケットには、シャトーと呼ばれる生産者の名前が大きく記されていることが多いです。これは、ボルドー地方では、生産者がワインの品質に責任を持ち、その伝統と技術を代々受け継いでいることを示す証だからです。 また、エチケットのデザインにも注目してみましょう。伝統的なデザインを重んじる造り手もいれば、現代的なデザインで目を引くもの、イラストで個性を表現したものなど、様々です。エチケットのデザインを見るだけでも、そのワインの造り手の考え方やワインに対する想いが伝わってくるようです。 このように、エチケットは、ワインを選ぶ上での重要な情報源であると同時に、そのワインの世界観を表現する重要な役割を担っています。次回は、ワインを手に取ったら、ぜひエチケットをよく見てみてください。きっと、今まで以上にワインを楽しむことができるはずです。
ワインラベル

スペインの泡、エスプモーソって?

- エスプモーソとは「エスプモーソ」は、スペイン語で「発泡性の」という意味を持つ言葉で、スペインで生まれる多様な泡立ちを持つワイン全体を指します。 国際ブドウ・ワイン機構(O.I.V.)では、温度20℃において、3.5バール以上の炭酸ガス圧を持つものをスパークリングワインと定義していますが、エスプモーソもこの定義に当てはまります。ただし、小さな瓶に詰められた場合には、3.0バール以上のものが該当します。スペインでは、このガス圧が3.5バール未満の発泡ワインは、「ヴィノ・デ・アグーハ」と呼ばれ、微発泡ワインに分類されます。 エスプモーソは、瓶内二次発酵を行う伝統的な製法で造られることが多く、シャンパーニュと同じく、瓶の中で二次発酵を行うことで、きめ細やかな泡立ちと複雑な味わいを生み出します。スペイン国内の様々な地域で生産されており、使用されるブドウ品種や製法、熟成期間も多岐に渡ります。そのため、フレッシュでフルーティーなものから、複雑で熟成感のあるものまで、幅広い味わいのエスプモーソを楽しむことができます。
生産方法

マデイラワインの製造法:エストゥファとは

ポルトガル領のマデイラ島。その温暖な地で生み出される酒精強化ワインこそ、マデイラワインです。マデイラワイン最大の特徴は、加熱熟成によって生み出される、他に類を見ない複雑な味わいです。太陽光に近い熱を利用し、ゆっくりと時間をかけて熟成させる伝統的な製法「カンテイロ」。一方で、人工的に熱を加え、熟成を促進させる方法も存在します。それが「エストゥファ」や「タンク熟成」と呼ばれる手法です。 今回は、これらのうち、比較的短期間で熟成を進めることができる「エストゥファ」について詳しく見ていきましょう。「エストゥファ」は、屋根裏部屋や専用の部屋に設置されたタンクにワインを貯蔵し、温水パイプやヒーターなどを用いて、ゆっくりと時間をかけて加熱する方法です。この加熱熟成によって、マデイラワインは独特の風味を纏っていきます。ナッツやカラメル、ドライフルーツを思わせる香ばしい香りは、まさに熟成の賜物と言えるでしょう。 「エストゥファ」による熟成期間は、通常数か月から数年と、伝統的な「カンテイロ」と比べて短いことが特徴です。しかし、短期間であっても、加熱熟成によって、マデイラワイン特有の複雑な風味を引き出すことができるため、広く普及している手法となっています。
その他

「エスト!エスト!!エスト!!!」伝説の白ワイン

- 「エスト!エスト!!エスト!!!」の物語 「エスト!エスト!!エスト!!!ディ・モンテフィアスコーネ」という、少し変わった名前のワインをご存知でしょうか。これは、イタリア中部のラツィオ州で造られる、キリッとした味わいの白ワインです。 このワインの名前は、中世に起きたある出来事に由来しています。当時、ワインをこよなく愛するドイツ人司教ヨハネス・フッゲルがいました。ある時、彼はローマへ向かう旅に出かけます。その道中、フッゲル司教は従者に「もしも美味しいワインを見つけたら、『エスト(ある)』と印をつけるように」と命じました。 ローマへの長い旅路の中、従者は様々な宿でワインを試飲しては「エスト」と印をつけて回りました。そしてついに、モンテフィアスコーネの小さな宿で運命の出会いを果たします。その宿で提供されたワインがあまりにも美味しかったため、従者は興奮のあまり「エスト!」を3回も書いてしまったというのです。 この逸話から、そのワインは「エスト!エスト!!エスト!!!」と呼ばれるようになり、やがて地名を冠した「エスト!エスト!!エスト!!!ディ・モンテフィアスコーネ」として、世界中で愛されるワインとなりました。
ワインラベル

ワイン用語解説:エステートとは?

ワインの世界で、“エステート”という言葉を耳にしたことはありますか?これは、ブドウの栽培からワインの醸造、そして瓶詰めまでを一貫して行う生産者のことを指します。 ワインは、原料となるブドウの品質によって味わいが大きく左右されます。そのため、土作りやブドウの栽培方法によって、ワインの個性は大きく変化します。 エステートと名乗る生産者は、まさにその土地と深く結びつき、自分たちの手でワイン造りの全てを行います。彼らは、自らの土地を知り尽くし、その土地の個性を最大限に引き出すブドウを育て、ワインを造り上げます。 英語で “Estate” は、“地所”を意味します。これは、ワイン造りに必要なものが全てその土地に揃っているということを表しており、エステートワインは、まさにその土地の個性が詰まった唯一無二のワインと言えるでしょう。
生産地

力強さと上品さを併せ持つワイン – エシェゾーを探求する

フランス東部、ブルゴーニュ地方のコート・ド・ニュイ地区に、世界中のワイン愛好家を魅了する小さな村、ヴォーヌ・ロマネ村があります。この村に存在する特級畑の中でも、とりわけ名高いのが「エシェゾー」です。 わずか約39ヘクタールという限られた面積ながら、そこで生まれるワインは、別格の風格と奥深さを備え、「ブルゴーニュの宝石」と称えられています。 エシェゾーは、畑の向きや土壌の微妙な違いによって、多様な表情を見せるワインを生み出します。一般的に、力強さとエレガントさを兼ね備えた味わいが特徴と言われています。 ブラックベリーやブラックチェリーを思わせる濃厚な果実香、スミレやスパイスのニュアンス、熟成によって生まれるトリュフや森の下草を思わせる複雑な香りが織りなす芳醇なアロマは、まさに至福の体験と言えるでしょう。 しっかりとした骨格を持ち、長期熟成にも耐えうる力強さも持ち合わせていますが、決して重たくはなく、絹のように滑らかなタンニンと溶け込むような酸味は、気品あふれる味わいを演出します。 豊かな果実味と複雑なアロマ、そして洗練された味わいの調和は、まさに芸術と呼ぶにふさわしいでしょう。 ブルゴーニュの中でも特に希少価値の高いワインの一つであるエシェゾー。その深遠な世界を、あなた自身の舌で体感してみてはいかがでしょうか。
生産方法

フランスワインの認証機関「エコセール」

- エコセールとはエコセールは、1991年にフランスで産声を上げた、世界規模で活躍するオーガニック認証機関です。食品、化粧品、繊維製品など、私たちの生活に欠かせない様々な製品を対象に、厳しい基準をクリアした製品に対してのみ認証マークを与えています。その活動は世界130カ国以上に及び、信頼のおけるオーガニック認証機関として国際的に高い評価を得ています。 特にフランスのワイン生産者の間では、エコセールの認証を受けることがひとつのステータスとなっています。フランスで生産されるオーガニックワインの多くは、エコセールの厳しい審査をクリアしており、消費者は安心して環境に優しく高品質なワインを楽しむことができます。エコセールの認証マークは、生産者と消費者を結ぶ信頼の証と言えるでしょう。
生産方法

ワイン造りとエコシステム:持続可能なブドウ栽培の必要性

- ワイン造りの変化 かつてワイン造りにおいては、その土地に適した品種を選び、丁寧にブドウを育て、醸造家の技術によって美味しいワインを生み出すことに焦点が当てられてきました。しかし、近年では、美味しいワインはもとより、環境への負荷を低減し、持続可能な方法でワイン造りを行うことが求められるようになっています。 この変化の背景には、地球温暖化や環境汚染といった地球規模の課題に対する意識の高まりと、消費者の価値観の多様化があります。ワイン愛好家の間では、自分が口にするワインが、環境に配慮して作られたものであるかどうかを重視する傾向が強まっています。 こうした時代の要請に応えるべく、多くのワイン生産者が環境負荷の低いワイン造りに転換し始めています。具体的には、化学肥料や農薬の使用量を減らし、生物多様性を保全する農法を取り入れる動きが広がっています。また、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入したり、ワインの輸送における二酸化炭素排出量を削減するなど、様々な取り組みが行われています。 ワインは、自然の恵みと人の情熱が融合して生まれる、まさに農産物の芸術です。環境への配慮は、ブドウの品質向上にもつながり、ひいては、より味わい深いワインを生み出すことに貢献します。 持続可能なワイン造りは、地球の未来を想い、次世代へと続くワイン文化を創造していくための、重要な取り組みと言えるでしょう。
生産方法

ワイン造りの秘密兵器?エグラパージュの効果とは

- エグラパージュってなに?ワイン造りにおいて、ブドウの収穫は一大イベントですが、その後の工程にも様々な作業があり、それぞれがワインの味わいを左右する重要な要素となります。その中でも、「エグラパージュ」という作業をご存知でしょうか?フランス語で「除梗」を意味するこの作業は、その名の通り、収穫したブドウの房から、実を繋いでいる軸の部分、つまり「梗」を取り除くことを指します。一見、単純作業のように思えるかもしれません。しかし、このエグラパージュを行うか行わないか、あるいはその度合いによって、最終的に出来上がるワインの味わいは大きく変化する可能性を秘めているのです。梗にはタンニンや苦味成分が含まれており、ワインに渋みや青臭さを与えてしまうことがあります。そのため、軽やかでフルーティーな味わいのワインを目指したい場合は、エグラパージュを丁寧に行い、梗の混入を極力抑えることが重要となります。一方、長期熟成を目的とした力強い味わいのワインを造る場合には、あえてエグラパージュを行わず、梗を一部残すことがあります。これは、梗に含まれるタンニンが熟成とともにまろやかになり、ワインに複雑な風味や骨格を与えてくれると信じられているからです。このように、エグラパージュは一見地味な作業に見えますが、ワインのスタイルや目指す味わいによって、その方法や度合いが調整される、奥深い技術と言えるでしょう。
生産方法

ワインの甘さの指標「エクスレ」

- エクスレとはエクスレとは、主にドイツやルクセンブルクのワイン造りで用いられる、ブドウ果汁の糖度を示す単位です。この単位は、19世紀に活躍したドイツの技師、フェルディナンド・エクスレ氏の名前に由来しています。彼は、ブドウの果汁に含まれる糖分の量と、その果汁から造られるワインのアルコール度数との間に密接な関係があることを発見しました。そして、その関係をより明確に示すために、果汁の比重を測定する方法を開発しました。 果汁の比重は、糖分が多いほど高くなるため、この値を測定することで、ブドウの熟度や、そこから造られるワインの潜在的なアルコール度数を推定することができるのです。エクスレ氏は、自らが開発した比重計を用いて測定した値を「エクスレ度」と名付けました。 エクスレ度は、ブドウ果汁1キログラムあたりの糖分のグラム数を表しており、数値が大きいほど糖度が高い、つまり完熟したブドウであることを示します。例えば、エクスレ度100度の果汁は、1キログラムあたり100グラムの糖分を含んでいるということになります。今日でも、エクスレ度はワイン、特にドイツワインの品質を評価する上で重要な指標として用いられています。ブドウの栽培地域や品種、収穫年によってエクスレ度は異なり、その違いがワインの味わいの多様性を生み出す一因となっています。そして、醸造家は長年の経験と知識に基づき、それぞれのブドウの出来栄えをエクスレ度から判断し、最適なワイン造りを行っているのです。
ワインラベル

エクストラ・ブリュット:辛口スパークリングワインの極み

- エクストラ・ブリュットとはスパークリングワイン、特にシャンパンのように瓶内で二次発酵を行うワインには、甘口から辛口まで様々な味わいの種類があります。その甘辛度合いを示す用語の一つに、「エクストラ・ブリュット」があります。エクストラ・ブリュットは、文字通り「極めて辛口」を意味する言葉で、その名の通り、非常に辛口に仕上がっているのが特徴です。これは、ワインの製造過程で加えられる糖分量に関係しています。ワイン造りでは、発酵が終わった後に補糖を行うことがありますが、エクストラ・ブリュットの場合、残糖分量が1リットルあたり0~6グラムと、極限まで抑えられています。そのため、口に含むと、キリッとしたドライな味わいが広がり、後味はすっきりとしています。甘味よりも、ブドウ本来の酸味やミネラル感を強く感じるため、料理の味を邪魔せず、食前酒としてはもちろん、魚介料理などとも相性抜群です。豊かな香りとキレのある味わいは、特別な日の一杯にも最適です。