「け」

品種

華やかな香りのゲヴュルツトラミネール

- ゲヴュルツトラミネールとは ゲヴュルツトラミネールという名前を耳にした時、一体どんなワインなのか想像できる人は少ないのではないでしょうか。複雑な名前を持つこのワインは、その名前に負けない個性的な香りの持ち主です。 ゲヴュルツトラミネールは、白ワインの品種でありながら、その原料となるブドウはピンク色の果皮を持っているという特徴があります。そのため、淡い黄金色を帯びた美しい外観をしています。しかし、このワインの最大の魅力はその香りにあります。ライチやバラ、パッションフルーツを思わせる華やかでエキゾチックなアロマは、他の白ワインでは味わえない独特なものです。口に含むと、豊かな果実味とスパイシーな香りが広がり、甘口から辛口まで様々なスタイルで楽しむことができます。 冷涼な気候で育つこのブドウは、フランスのアルザス地方やドイツ、イタリア北部などで栽培されています。近年では、日本でもその栽培が始まり、国産のゲヴュルツトラミネールを味わうことができるようになってきました。 個性的な香りのワインに挑戦してみたい方、いつもと違う白ワインを楽しみたい方は、ぜひ一度ゲヴュルツトラミネールの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
生産地

イタリアワインの至宝! ゲンメの魅力を探る

イタリア北西部のピエモンテ州と言えば、ワイン愛好家なら誰もがその名を耳にしたことがあるでしょう。特に、バローロやバルバレスコといった、世界に名を轟かせる高級赤ワインの産地として有名です。しかし、このピエモンテ州には、まだ広くは知られていないものの、素晴らしいワインを生み出す隠れた名産地が数多く存在します。その一つが、ノヴァーラ県にひっそりと佇むゲンメという小さな村です。 ゲンメは、セシア川を挟んでガッティナーラというこれまた有名なワイン産地と向かい合うように位置しています。この二つの産地は、どちらもピエモンテ州を代表するブドウ品種であるネッビオーロ種から、力強く、複雑で、長期熟成に耐えうる素晴らしい赤ワインを生み出しています。特にゲンメのワインは、ガッティナーラのワインと比べると、より繊細でエレガントな味わいが特徴と言われています。 豊かな自然と伝統的な醸造方法が守られてきたゲンメは、まさにワインの宝庫と言えるでしょう。近年、その品質の高さから徐々に注目を集め始めており、今後、世界中のワイン愛好家を魅了する産地となる可能性を秘めています。
生産方法

ワイン造りの伝統:ゲミシュターサッツ

- 多様性のるつぼゲミシュターサッツとは ドイツのワイン造りを語る上で欠かせないのが、「ゲミシュターサッツ」という概念です。これは、一言で表すと「混植混醸ワイン」を指します。 その名の通り、ゲミシュターサッツは複数の異なるブドウ品種を、同じ畑に混植することから始まります。例えば、リースリングやシルヴァーナー、ミュラー・トゥルガウといった白ブドウ品種が、まるでモザイク画のように畑に植えられます。 そして、これらのブドウは、同じタイミングで収穫され、同時に圧搾、発酵というプロセスを辿ります。それぞれの品種が持つ個性的な味わいや香りが、醸造過程で複雑に絡み合い、単一品種のワインでは表現できない、深みと複雑さを生み出すのです。 まるで熟練の指揮者が奏でるオーケストラのように、それぞれの品種が個性的な音を奏でながらも、調和のとれたハーモニーを生み出す、それがゲミシュターサッツの魅力と言えるでしょう。 ゲミシュターサッツは、ドイツの伝統的なワイン造りの技法であり、その複雑で奥深い味わいは、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。
アロマ

ワインの香り「ゲイミー」:複雑な魅力を紐解く

ワインを表現する言葉の中には、普段の生活ではあまり耳慣れない表現が使われることがあります。その一つに「ゲイミー」という言葉があります。これは、鹿や猪などの狩猟で獲れる動物の肉を連想させる香りを指す言葉です。ワインから動物の香り?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、決して品質の悪さを表す言葉ではありません。むしろ、長年の熟成を経た赤ワインに見られる、複雑で奥深い香りの要素の一つとして、ワイン愛好家たちを魅了しています。 熟成が進むにつれて、ワインに含まれる様々な成分が変化し、複雑な香りの分子を生み出します。ゲイミーな香りは、その中でも特に熟成の証として知られており、革製品や土、乾燥したハーブ、スパイスなどを思わせる香りと複雑に絡み合い、言葉では表現しきれないほどの奥行きと熟成感を醸し出します。 ゲイミーな香りは、ボルドー地方の熟成した赤ワインなどで感じられることが多いですが、品種や土壌、醸造方法、熟成環境などによってもその現れ方は異なります。ワインの世界の奥深さを体感させてくれる要素の一つと言えるでしょう。
品種

ケルナー – 日本で育つドイツの華

- ケルナー誕生秘話 ケルナーは、1969年にドイツで誕生した、比較的新しい白ブドウ品種です。その誕生は、まさにドイツを代表する二つのブドウ品種の出会いから始まりました。一つは、華やかで芳醇な香りが特徴のリースリング。もう一つは、病気に強く栽培しやすいことで知られるトローリンガーです。 異なる個性を持つこの二つのブドウ品種を交配することで、リースリングの芳醇な香りと、トローリンガーの栽培のしやすさ、両方の長所を受け継いだ、まさに夢のようなブドウ品種が誕生しました。 そして、この新しいブドウ品種には、「ケルナー」という名前が付けられました。これは、18世紀から19世紀にかけて活躍した、ドイツを代表する詩人、ユスティヌス・ケルナーに由来します。彼は自然を愛する詩人として知られていましたが、実はブドウ栽培にも深い造詣を持ち、その功績を称えられて、新しいブドウ品種に彼の名が冠されたのです。
その他

ワインの澱とケルセチン:その影響と生産者の想い

グラスに注がれたワインの底に、時折、小さな粒や沈殿物を見かけることがあるかもしれません。これは「澱(おり)」と呼ばれるもので、一見すると品質が悪くなったように思えるかもしれませんが、実は品質とは必ずしも関係ありません。むしろ、ワインの味わいを豊かにする要素の一つと言えるでしょう。 澱には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、ワインの製造過程で生じる澱です。ブドウの果皮や種子、茎などに由来するもので、タンニンや色素を含んでいます。これらの成分は、ワインに渋みや複雑さを与え、長期熟成の可能性を高める役割を果たします。 もう一つは、ワインの熟成中に生じる澱です。これは、主に酒石酸とカリウムが結合してできた結晶で、酒石と呼ばれます。酒石は無色透明で、ダイヤモンドのような輝きを放つことから、古くは「ワインの宝石」とも呼ばれていました。酒石は、ワインの酸味をまろやかにし、風味を調和させる効果があります。 澱は、ワインの味わいや香りに影響を与える可能性はありますが、人体に害を与えるものではありません。気になる場合は、デキャンタと呼ばれる専用の容器に移し替えることで、澱を取り除くことができます。しかし、澱もワインの一部として楽しむという考え方もあります。澱があることで、ワインの複雑さや奥深さをより一層感じることができるでしょう。
品種

南アの風を感じる?ケープブレンドの魅力

- ケープブレンドとは南アフリカという太陽の恵みをたっぷり浴びた温暖な土地で育ったブドウを、いくつかの品種を組み合わせて作られるのがケープブレンドです。その名前からも南アフリカの個性を感じ取ることができますね。数あるブドウ品種の中でも、ケープブレンドでひときわ重要な役割を担うのが「ピノタージュ」という品種です。このブドウは南アフリカ独自の品種で、他の地域ではなかなかお目にかかれません。力強く、それでいてどこか野性味を感じさせる味わいと、鼻腔をくすぐるスパイシーな香りが特徴です。ケープブレンドは、このピノタージュを30%以上使用することが決められており、他の品種とブレンドすることで、複雑で奥行きのある味わいを生み出します。果実の甘みと酸味、そしてスパイシーな香りが織りなすハーモニーは、まさに南アフリカの大地の恵みと言えるでしょう。一口飲めば、そこには雄大なアフリカの大地が広がっているかのようです。ぜひ、個性豊かなケープブレンドで、南アフリカの魅力に触れてみてください。
気候

ワイン造りを助ける風?ケープドクターの秘密

- 南アフリカワインの守護者 「ケープドクター」—あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、南アフリカでワイン造りを行う人々にとっては、なくてはならない存在です。特に、西ケープ州に広がるブドウ畑にとって、この風はまさに守護者と呼ぶにふさわしい役割を担っています。 ケープドクターとは、南アフリカのケープタウン周辺で、特に夏季に吹き荒れる強風のことを指します。その名の由来は、かつてヨーロッパから船でケープタウンにやってきた人々が、この風がもたらす乾燥した空気によって、船内に蔓延していた伝染病が治ったと信じたことに由来します。 ブドウ畑にとって、この強風は時に厄介者とみなされることもあります。しかし、同時に多くの恩恵をもたらす存在でもあるのです。 まず、ケープドクターは、ブドウの木に発生しやすい様々な病気を防ぐ効果があります。湿気を含んだ空気を吹き飛ばし、ブドウ畑を乾燥させることで、カビの発生や病気の蔓延を抑制するのです。 さらに、この風は、ブドウの品質向上にも貢献しています。 強風はブドウの木にストレスを与えるため、その分、果実の味わいが凝縮されるのです。 このように、ケープドクターは南アフリカワインの品質を支える重要な要素の一つと言えるでしょう。次回は、南アフリカワインを味わう際に、この風の存在を思い出してみてください。
ワインラベル

ワインの味わいを決める「原産地」の重要性

お酒の中でも、ワインは特に産地が大切だと言われています。ぶどうから作られるワインは、その土地の気候や土壌、そして作り手の技術によって味わいが大きく左右されるからです。 銘柄や品種だけに注目するのではなく、どこの国や地域の、どのような環境で育ったぶどうから作られたのかを知ることで、ワインをより深く楽しむことができるでしょう。 例えば、フランスのボルドー地方は、温暖な気候と水はけの良い土壌で、カベルネ・ソーヴィニヨン種やメルロー種などの黒ぶどうの栽培に適しています。そのため、ボルドーワインは、しっかりとした渋みと豊かな果実味、複雑な香りが特徴です。 一方、イタリアのトスカーナ地方は、日照時間が長く乾燥した気候で、サンジョヴェーゼ種という黒ぶどうの栽培が盛んです。トスカーナワインは、酸味が強く、しっかりとしたタンニンと、赤い果実やスミレを思わせる香りが特徴です。 このように、同じぶどう品種であっても、育った環境が異なれば、ワインの味わいは大きく異なります。ワインを選ぶ際には、産地にも注目し、その土地の気候や土壌、歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
生産方法

ワインの個性を作る「結実不良」

太陽の光を浴びてたわわに実ったブドウ。その一粒一粒が、芳醇な香りのワインへと姿を変えていきます。しかし、ブドウの実りは、決して簡単な道のりではありません。開花後、ブドウは様々な困難に遭遇し、その結果として実りが悪くなってしまうことがあります。これを結実不良と呼びます。 結実不良とは、開花後にブドウの実が十分に成長せず、小さくしぼんでしまう現象です。原因はさまざまであり、天候不順もその一つです。ブドウの開花期に雨が続くと、受粉がうまくいかず、結実不良につながることがあります。また、日照不足もブドウの生育に悪影響を及ぼします。太陽の光が不足すると、ブドウは光合成を十分に行うことができず、栄養不足に陥ってしまいます。 さらに、土壌の栄養不足も結実不良の原因となります。ブドウは生育に必要な栄養分を土壌から吸収します。土壌に十分な栄養分が含まれていない場合、ブドウは健全に成長することができず、結実不良を引き起こす可能性があります。 結実不良は、ワインの生産量に大きな影響を与える深刻な問題です。おいしいワインを生み出すためには、ブドウの生育段階における適切な管理が欠かせません。
テイスティング

ワインの香りの落とし穴:欠陥臭とその種類

ワインを口にする前から、既にその魅力は私たちに語りかけています。それはグラスから立ち上る芳醇な香り。色合いや味わいと同様に、香りはワインの個性と品質を雄弁に物語る要素の一つと言えるでしょう。 深くグラスに顔を近づけてみましょう。熟した果実を思わせる甘やかな香り、花々が開くような華やかな香り、あるいは焙煎したコーヒー豆のような香ばしい香り。ワインの香りは、ブドウの品種や産地、そして作り手の哲学によって千変万化、まさに十人十色です。 しかし、時としてワインからは、本来の個性を覆い隠してしまうような、不快な香りが感じられることがあります。これは「欠陥臭」と呼ばれるもので、ワインの製造過程や保管状況に起因するものです。例えば、湿った段ボールのようなカビ臭さは、ブドウが病気にかかっていたり、保管状態が悪かったりする場合に発生します。また、ツンとした刺激臭は、アルコール発酵がうまくいかなかった証拠です。 これらの欠陥臭は、ワイン本来の魅力を損なってしまうだけでなく、健康を害する可能性も孕んでいます。ワインを選ぶ際には、色合いやラベルだけでなく、香りにも注意を払い、五感を研ぎ澄ませてみましょう。きっと、あなたを魅了する最高のワインと出会えるはずです。