シャンパーニュを彩る生産者たち：NM、RM、CMって？

シャンパーニュを彩る生産者たち：NM、RM、CMって？

シャンパーニュの多様性を支える生産者たち

フランスのシャンパーニュ地方は、世界中で愛飲される発泡酒の産地として有名です。広大なブドウ畑が広がるこの地では、多くの生産者がそれぞれのこだわりを持ってブドウ栽培から瓶詰めまでを行い、個性豊かなシャンパーニュを生み出しています。

シャンパーニュの生産者は大きく分けて三つの種類に分類されます。まず、ブドウの栽培から瓶詰めまでを一貫して行う「レコルタン・マニピュラン」。彼らは、自社畑で収穫したブドウのみを使用し、土地の個性を最大限に表現したシャンパーニュ造りを目指しています。そのため、小規模な生産者が多いですが、近年その品質の高さから注目を集めています。

次に、ブドウ農家から買い付けたブドウを用いてシャンパーニュを造る「ネゴシアン・マニピュラン」。大手メゾンと呼ばれる生産者が多く、安定した品質と大量生産が特徴です。複数のブドウ農家と契約することで、様々な個性を持つブドウを調達し、それぞれのメゾンのスタイルに合わせたシャンパーニュを造り上げています。

最後に、複数のブドウ農家が共同で設立した組合が運営する「コーペラティヴ・マニピュラン」。組合員であるブドウ農家からブドウを集めてシャンパーニュを造るため、高品質でありながら、比較的求めやすい価格で提供できるのが魅力です。

このように、シャンパーニュ地方には、規模や手法は異なっても、高品質なシャンパーニュ造りに情熱を注ぐ生産者たちが存在します。彼らのたゆまぬ努力と伝統が、私たちが愛してやまないシャンパーニュの多様性を支えているのです。

大手メゾンが多い「ネゴシアン・マニピュラン（NM）」

ワインの世界には、大きく分けて二つの製造形態が存在します。ブドウの栽培からワインの瓶詰めまでを一貫して行う「ドメーヌ」に対し、「ネゴシアン・マニピュラン（NM）」はブドウ農家から良質なブドウを買い付け、自社で醸造、熟成、瓶詰め、販売までを行うというものです。
「ネゴシアン」は「ワイン商」、「マニピュラン」は「製造者」を意味し、その名の通り、NMは自社で畑を持たず、各地のブドウ農家と契約を結び、買い付けたブドウを用いてワイン造りを行います。有名なシャンパンメゾンであるヴーヴ・クリコやモエ・エ・シャンドンも、このNMに分類されます。
NMの最大の特徴は、広域のブドウから安定した品質のワインを大量に生産できる点です。長年培ってきた醸造技術と、最新設備を駆使することで、高品質なワインを安定して供給することが可能となります。また、大量生産により、比較的求めやすい価格で提供できることも魅力です。
実際、シャンパーニュ全体の生産量の9割以上をNMが占めていることからも、その影響力の大きさが伺えます。普段私たちが目にする機会の多い、親しみやすいワインの多くは、NMによって生み出されていると言えるでしょう。

こだわりの製法で個性を表現「レコルタン・マニピュラン（RM）」

「レコルタン・マニピュラン（RM）」とは、フランス語で「収穫者兼醸造者」という意味です。シャンパーニュ地方において、ブドウの栽培から収穫、醸造、瓶詰め、熟成、販売までの一連の工程をすべて自社で行う小規模な生産者のことを指します。
大規模なシャンパンメーカーとは異なり、RMは自社で所有する畑のブドウだけを使用し、その年の気候や土壌の特徴を最大限に表現した個性的なシャンパンを生み出します。
そのため、RMのシャンパンは大量生産のシャンパンにはない、作り手の哲学やこだわりが感じられる唯一無二の味わいを楽しむことができます。
近年、シャンパン愛好家の間でRMのシャンパンはますます人気が高まっています。
その中でも、エグリ・ウーリエやジャック・セロスといった生産者は、その品質の高さから世界中で高い評価を受けています。
RMのシャンパンは、小規模生産のため希少価値が高く、高価なものも多いですが、その味わいは格別です。
個性豊かなシャンパンを味わいたいという方は、ぜひ一度、RMのシャンパンを試してみてはいかがでしょうか。

共同で高品質なシャンパーニュを「コーペラティヴ・マニピュラン（CM）」

シャンパーニュ地方には、「コーペラティヴ・マニピュラン（CM）」と呼ばれる、独自の形態で高品質なシャンパーニュを造る生産者がいます。これは、複数のブドウ農家が共同で設立した組合が、ブドウの栽培だけでなく、醸造から瓶詰めまでを一貫して行う形態を指します。
有名なCMとしては、ボーモン・デ・クレイエールなどがあります。各農家はそれぞれが所有する畑で丹精込めてブドウを育て、収穫したブドウを組合に持ち寄ります。組合では、持ち寄られた多様なブドウをブレンドすることで、個々の農家では難しい、複雑で奥深い味わいのシャンパーニュを生み出します。
また、複数の農家のブドウを使用することで、天候不順などのリスクを分散できる点も大きなメリットです。そのため、安定した品質のシャンパーニュを毎年供給することが可能となります。
CMは、それぞれの農家の個性を生かしながら、高品質なシャンパーニュ造りを目指す、共同体としての精神が生み出した、素晴らしいシステムと言えるでしょう。

それぞれの個性を味わう楽しさ

華やかな泡立ちと爽やかな喉越しで世界中の人々を魅了するシャンパーニュ。その味わいは、実は一様ではありません。ブドウの栽培から瓶詰めまでを一貫して行う小規模生産者である「レコルタン・マニピュラン（RM）」、広大な自社畑を所有し、安定した品質で大量生産を行う「ネゴシアン・マニピュラン（NM）」、複数の生産者からブドウやワインを買い取ってシャンパーニュを造る「コープ・マニピュラン（CM）」など、様々な規模や形態の生産者が存在し、それぞれが独自の哲学と情熱を込めてシャンパーニュ造りを行っています。

例えば、RMは、自らの手で育てたブドウだけを使用し、土地の個性やその年の気候を反映した、個性あふれるシャンパーニュを生み出します。一方、NMは、長年培ってきた経験と技術を駆使し、誰にとっても飲みやすく、安定した品質のシャンパーニュを提供することに力を注いでいます。そして、CMは、それぞれの生産者から集められたブドウやワインを巧みにブレンドすることで、高品質でバランスの取れたシャンパーニュを造り上げています。

このように、シャンパーニュは、造り手によってその味わいは千差万別です。それぞれの個性を知ることで、シャンパーニュの世界はより一層深く、楽しいものとなるでしょう。ぜひ、色々なタイプのシャンパーニュを飲み比べて、自分のお気に入りの1本を見つけてみて下さい。