忘れられたブドウ?ワイン品種「バッフス」の魅力

忘れられたブドウ?ワイン品種「バッフス」の魅力

ワインを知りたい

先生、「ワイン品種のバッフス」って、どんなワインですか?

ワイン研究家

良い質問だね!バッフスは、1970年代に人気があったワインで、華やかな香りと、マスカットを思わせる香りが特徴なんだ。でも、最近はあまり見かけなくなったんじゃないかな?

ワインを知りたい

確かに、あまり聞いたことがありません。昔は人気があったのに、今はあまり作られていないんですか?

ワイン研究家

そうなんだ。バッフスは、リースリングというブドウと違って、早く熟して甘いブドウができるため、リースリングを育てるのが難しい畑でも栽培できたため人気が出たんだけど、今は栽培面積が減っているんだ。

ワイン品種のバッフスとは。

「ワイン品種のバッフス」は、1930年代に「シルヴァーナ」と「リースリング」を掛け合わせてできた品種に、さらに「ミュラー・トゥルガウ」を掛け合わせて作られました。花のような香りと、マスカットを思わせる香りが特徴で、1970年代に人気を集めました。1990年代初めに最も人気がありましたが、その後は栽培面積が減り続け、2014年には約1,800ヘクタールほどになりました。栽培されている場所は、ほとんどが「ラインヘッセン」と「フランケン」です。「リースリング」とは反対に、早く熟して糖度が上がりやすいので、「リースリング」の栽培に向いていない場所でも育てることができます。

複雑な交配の歴史

複雑な交配の歴史

世界中で愛されるワインには、原料となるブドウの品種が数えきれないほど存在します。その歴史は古く、品種改良や偶然の交配によって、実に多様な個性を持つブドウが生まれてきました。そして、複雑な交配の歴史を持つブドウ品種の中には、「バッフス」のように、その誕生に人間の情熱と探求心が深く関わっているものがあります。
時は20世紀前半、1930年代のドイツ。ブドウ栽培研究所として名高いガイゼンハイムにおいて、新たなブドウ品種を生み出そうという試みが始まりました。その目標は、高貴な香りと味わいを持ち、病気にも強いブドウを作ることにありました。そこで選ばれたのが、「シルヴァーナ」と「リースリング」という、いずれもドイツを代表する2つの品種でした。前者は上品な香りと繊細な味わいを持ち、後者は気品あふれる香りと豊かな酸味が特徴です。
しかし、交配は容易ではありませんでした。試行錯誤の末、誕生したブドウは、さらに「ミュラー・トゥルガウ」という、芳醇な香りと優しい甘みを持つ品種と交配されました。こうして、幾重もの試練を経て、ついに「バッフス」は誕生したのです。それは、まるで両親の優れた性質を受け継いだ、まさに「奇跡のブドウ」だったのです。

ブドウ品種 特徴
バッフス 20世紀前半にドイツで誕生した、高貴な香りと味わいを持ち、病気にも強いブドウ品種。
シルヴァーナ 上品な香りと繊細な味わいを持つ、ドイツを代表するブドウ品種。バッフスの親品種の一つ。
リースリング 気品あふれる香りと豊かな酸味が特徴の、ドイツを代表するブドウ品種。バッフスの親品種の一つ。
ミュラー・トゥルガウ 芳醇な香りと優しい甘みを持つブドウ品種。バッフスの親品種の一つ。

華やかな香りと爽やかな味わい

華やかな香りと爽やかな味わい

グラスに注ぐと、咲き乱れる花々を思わせる華やかな香りがふわりと広がり、心を和ませてくれます。よく見ると、マスカットを彷彿とさせる、甘くフルーティーな香りも感じられます。香りがもたらす期待感は、一口飲むと確信へと変わります。口に入れた瞬間、生き生きとした酸味が広がり、それと同時に、みずみずしい果実のような甘みが顔を出します。酸味と甘みのバランスがとれており、とても心地よいです。後味は驚くほどすっきりとしていて、何杯でも飲みたくなってしまうでしょう。このワインの魅力は、華やかな香りと爽やかな味わいのハーモニーと言えるでしょう。

特徴 詳細
香り ・咲き乱れる花々を思わせる華やかな香り
・マスカットを彷彿とさせる、甘くフルーティーな香り
味わい ・生き生きとした酸味
・みずみずしい果実のような甘み
・酸味と甘みのバランスが良い
・後味がすっきり
総評 華やかな香りと爽やかな味わいのハーモニー

一時は人気を博すも…

一時は人気を博すも…

1970年代、誰もが親しみやすいと感じられる、あるブドウ品種を使ったワインが爆発的な人気を集めました。口当たりの良いそのワインは、多くの人を魅了し、時代を席巻したのです。しかし、栄光は永遠に続くわけではありませんでした。1990年代初頭を境に、そのブドウ品種の栽培面積は減少の一途をたどります。そして2014年には、最盛期と比較すると、その栽培面積は約1,800ヘクタールまで落ち込んでしまいました。かつての隆盛は、もはや見る影もありません。なぜ、このような現象が起こったのでしょうか?時代の流れとともに、消費者の好みは多様化し、画一的で万人受けする味わいよりも、個性的な味わいを持つワインを求める傾向が強まりました。そして、この変化が、かつて人気を博したブドウ品種の衰退を招いたと考えられています。

年代 出来事
1970年代 あるブドウ品種を使った、親しみやすいワインが流行
1990年代初頭~ そのブドウ品種の栽培面積が減少
2014年 最盛期の1,800ヘクタールまで減少

栽培の容易さと可能性

栽培の容易さと可能性

ブドウ品種の一つであるバッフスは、その栽培の容易さと、将来性から注目を集めています。

特に、同じ白ブドウ品種であるリースリングと比較した場合、その特徴が顕著に現れます。リースリングは、晩熟で、糖度が上がるまでに時間がかかる品種ですが、バッフスは早熟で、糖度も上がりやすいという特徴があります。ブドウの栽培において、糖度はワインの味わいに大きく影響するため、重要な要素となります。

このため、冷涼な地域では、リースリングは十分に熟すことができず、質の高いワインを造ることが難しい場合がありますが、バッフスであれば、冷涼な地域でも、質の高いブドウを収穫することが可能となります。

さらに、バッフスは、病害にも比較的強いという特徴も持っています。ブドウの栽培において、病気の発生は、収量や品質に大きな影響を与えるため、病害への強さは、栽培のしやすさに直結します。

これらのことから、バッフスは、栽培が容易で、様々な地域で質の高いブドウを生産できる可能性を秘めた品種と言えるでしょう。まだ新しい品種のため、未知数な部分も多いですが、そのポテンシャルの高さから、今後、新たなワイン産地で、バッフスが注目を集める可能性は十分に考えられます。

項目 リースリング バッカス
熟期 晩熟 早熟
糖度 上がりにくい 上がりやすい
栽培適地 温暖な地域 温暖な地域、冷涼な地域
耐病性 記載なし 比較的強い

主要な産地と味わいの特徴

主要な産地と味わいの特徴

主要な産地と味わいの特徴
現在、バッフスという葡萄の栽培が盛んな地域は、ドイツのラインヘッセンとフランケンが中心です。ラインヘッセンは、ドイツの中でも温暖な地域として知られています。太陽の光をたっぷり浴びて育ったバッフスからは、果実味が豊かで、まろやかな甘みと爽やかな酸味が調和した、飲みやすいワインが生まれます。口に含むと、まるで熟した桃やアプリコットを思わせる、芳醇な香りが広がります。

一方、フランケンは、ラインヘッセンに比べると冷涼な地域です。そのため、フランケンで育つバッフスは、キリッとしたシャープな酸味が特徴です。きりっとした味わいは、食事の味を引き締めるのに最適です。特に、地元フランケン地方の伝統料理との相性が抜群です。このように、同じバッフスという品種の葡萄から造られるワインでも、栽培された土地の気候によって、味わいに大きな違いが生まれます。それぞれの土地の個性が、バッフスワインの奥深い魅力を、より一層引き立てていると言えるでしょう。

産地 味わいの特徴
ドイツ ラインヘッセン 果実味が豊かで、まろやかな甘みと爽やかな酸味が調和した、飲みやすいワイン。熟した桃やアプリコットを思わせる芳醇な香り。
ドイツ フランケン キリッとしたシャープな酸味が特徴。食事の味を引き締めるのに最適。
タイトルとURLをコピーしました