ブドウ栽培の匠の技:パラール仕立てとは

ブドウ栽培の匠の技:パラール仕立てとは

ワインを知りたい

先生、ワインの用語で『パラール』っていう仕立て方があるんですけど、日本の棚仕立てとどう違うんですか?

ワイン研究家

いい質問だね!どちらもブドウの樹を棚に仕立てる点は同じだけど、パラールは日本の棚仕立てよりも、ブドウの樹を植える間隔が狭く、たくさん植えられているんだ。だから、大量生産に向いているんだよ。

ワインを知りたい

なるほど!でも、ギュウギュウに植えてしまって、ブドウの品質は落ちないんですか?

ワイン研究家

昔は品質よりも量の時代もあったけど、今は質を重視するようになってきたから、パラールでも樹の間隔を広げたり、剪定を工夫して、風通しや日当たりを良くすることで、品質を上げているんだよ。

パラールとは。

「パラール」は、ぶどうの木の育て方の一種で、日本では「棚仕立て」と呼ばれています。高い場所に棚を作ってぶどうの木をそこに這わせて育てることで、強い日差しから実を守ることができます。じめじめした地域では、ぶどうの実を地面から離すことで、病気や湿気から守る効果もあります。パラールは、1ヘクタールあたり2000~2500本と、日本の棚仕立てほど木の間隔は広くありませんが、たくさんのぶどうを作るのに向いています。たくさん作れるだけでなく、作業する人が腰を曲げずに済むことや、強い日差しから守られることも利点です。近年は、質の良いぶどうを作るために、パラールは、木の幹の長さを変えずに、天井部分をコルドン・スパーのように剪定する方法がとられるようになりました。風通しや日当たりがよくなり、夏の剪定もしやすくなるため、収穫量は減りますが、質の高いぶどうが収穫できます。この「パラール」という呼び方はアルゼンチンで使われていますが、もともとはイタリアから伝わったものです。似たような棚仕立ては、雨が多い日本やポルトガルの一部、エジプトなどでも行われています。

パラール仕立てとは

パラール仕立てとは

– パラール仕立てとはパラール仕立てとは、ブドウの樹を高い位置に設置した棚に沿って水平に誘引する栽培方法のことです。日本では「棚仕立て」という呼び名で古くから親しまれてきました。この仕立て方は、日本の高温多湿な気候に非常に適しており、特に雨の多い時期にその真価を発揮します。パラール仕立ての最大の利点は、ブドウの実を強い日差しから守ることができる点にあります。 高温多湿な環境下では、強い日差しがブドウの実に悪影響を与え、品質を低下させてしまうことがあります。しかし、パラール仕立てでは、棚が日傘のような役割を果たし、ブドウの実を直射日光から守ります。そのため、ブドウは穏やかな日差しを浴びながらゆっくりと成熟し、糖度が高く、風味豊かな果実へと成長することができます。また、棚が高い位置にあるため、ブドウの房が地面から離れ、湿気や病害の影響を受けにくくなるのも大きな利点です。地面に近い場所でブドウを栽培すると、土壌からの湿気や病原菌の影響を受けやすく、果実が腐敗したり、病気にかかりやすくなってしまいます。一方、パラール仕立てでは、ブドウの房が地面から離れているため、風通しが良く、湿気もこもりにくいため、病害の発生を抑制することができます。このように、パラール仕立ては高温多湿な日本の気候風土に適した、伝統的かつ優れたブドウの栽培方法と言えるでしょう。

特徴 メリット
ブドウの樹を高い位置に設置した棚に沿って水平に誘引する 強い日差しからブドウの実を守る。棚が日傘の役割を果たす。
日本では「棚仕立て」と呼ばれる ブドウは穏やかな日差しを浴びて、糖度が高く風味豊かに育つ。
日本の高温多湿な気候に適している ブドウの房が地面から離れ、湿気や病害の影響を受けにくい。風通しが良い。

パラール仕立てのメリット

パラール仕立てのメリット

ブドウの栽培方法として知られるパラール仕立ては、その名の通り、ブドウの樹を棚に沿って水平に誘引し、一定の高さで管理する仕立て方です。この仕立て方は、作業効率の良さという点で多くの利点をもたらします。

まず、剪定や収穫といった、ブドウ栽培における主要な作業を立ったまま行うことができます。従来の垣根仕立てのように、かがんで作業する必要がないため、腰への負担が軽減され、作業者にとって身体的に優しい点が魅力です。長時間の作業でも疲労がたまりにくく、作業効率の向上に繋がります。

さらに、パラール仕立てで設置された棚は、日よけとしての役割も担います。特に夏の強い日差しから作業者を守り、熱中症のリスクを軽減することができます。また、ブドウにとっても、直射日光による葉焼けや果実のダメージを防ぐ効果が期待できます。

このように、パラール仕立ては、作業効率の向上と作業環境の改善という両面から、ブドウ栽培に携わる人々にとって大きなメリットをもたらす仕立て方と言えるでしょう。

項目 内容
仕立て方 パラール仕立て
特徴 ブドウの樹を棚に沿って水平に誘引し、一定の高さで管理する。
メリット – 作業効率の良さ
– 剪定や収穫を作業者が立ったまま行える
– 腰への負担軽減
– 日よけ効果による作業環境の改善
– ブドウの葉焼けや果実へのダメージ軽減

パラール仕立てと収量

パラール仕立てと収量

– パラール仕立てと収量パラール仕立ては、ブドウの樹を1ヘクタールあたり2000~2500本という高い密度で植える栽培方法です。そのため、他の仕立て方に比べて多くのブドウを収穫できることから、大量生産に適しています。かつては、この豊富な収穫量を活かして、手頃な価格のワインを多くの人に楽しんでもらうことが主流でした。しかし、近年では消費者のワインに対する意識が変化し、品質を重視する傾向が強まっています。濃厚な味わいや芳醇な香りを持つ、高品質なワインを求める声が大きくなっているのです。こうした時代の変化に伴い、ブドウ栽培においても、収量よりも品質を重視する動きが加速しています。パラール仕立てにおいても、高品質なブドウを収穫するために、様々な取り組みが行われています。その一つが、剪定方法の工夫です。ブドウの樹は、放っておくと多くの枝を伸ばし、たくさんの果実を実らせようとします。しかし、果実が多すぎると、一つ一つの果実に十分な栄養が行き渡らず、味が薄くなってしまいます。そこで、剪定によって果実の数を調整し、残った果実に栄養を集中させることで、糖度が高く、凝縮感のあるブドウを育てることができるのです。このように、パラール仕立ては、従来の大量生産のイメージから脱却し、高品質なワイン造りにも対応できる柔軟性を持ち合わせています。消費者の多様なニーズに応えるべく、今後も様々な工夫が凝らされていくことでしょう。

項目 説明
仕立て方法 パラール仕立て
特徴 – 1ヘクタールあたり2000~2500本と高密度でブドウを植える
– 多くのブドウを収穫できるため、大量生産に適している
従来のメリット – 手頃な価格のワインを多くの人に楽しんでもらうことができた
近年の変化 – 消費者のワインに対する意識が変化し、品質を重視する傾向が強まっている
– 濃厚な味わいや芳醇な香りを持つ、高品質なワインが求められている
高品質化への取り組み – 剪定方法の工夫により、果実の数を調整し、栄養を集中させることで、糖度が高く、凝縮感のあるブドウを育てる
今後の展望 – 大量生産のイメージから脱却し、高品質なワイン造りにも対応
– 消費者の多様なニーズに応えるべく、今後も様々な工夫が凝らされていく

高品質なブドウのための進化

高品質なブドウのための進化

ブドウ栽培において、高品質なブドウを得るための技術革新が進んでいます。従来広く行われてきたパラール仕立てでは、ブドウの樹の幹を長く伸ばし、そこから横に伸びる枝を棚全体に広げていました。この仕立て方は、多くの房を収穫できるという利点がありました。
しかし近年、ブドウの品質をさらに高めるため、新たな仕立て方が注目されています。その一つが、従来のパラール仕立ての利点を生かしつつ、天井部分だけをコルドン・スパー方式のように剪定する方法です。コルドン・スパー方式は、主幹から短い枝を多数出し、そこにブドウの房を集中させる仕立て方で、風通しや日当たりが良くなるという特徴があります。
天井部分をコルドン・スパー方式にすることで、パラール仕立てでありながら、風通しと日当たりが改善され、より健全なブドウを育てることが可能になります。健全なブドウは、病害虫にも強く、農薬の使用量を抑えることにも繋がります。その結果、収穫量は従来のパラール仕立てより減ってしまうこともありますが、糖度が高く、風味豊かな高品質なブドウを収穫することができるのです。
このように、ブドウ栽培は、伝統的な技術を生かしつつ、常に進化を続けています。消費者は、こうした技術革新の恩恵を受けて、より高品質なワインを楽しむことができるようになっています。

仕立て方 特徴 メリット デメリット
パラール仕立て ブドウの樹の幹を長く伸ばし、横に伸びる枝を棚全体に広げる 収穫量が多い 風通しや日当たりが悪い場合がある
コルドン・スパー方式 主幹から短い枝を多数出し、そこにブドウの房を集中させる 風通しや日当たりが良い 収穫量が少なくなる場合がある
パラール仕立ての天井部分をコルドン・スパー方式にする パラール仕立ての利点を生かしつつ、天井部分の風通しと日当たりを改善
  • 健全なブドウを育てられる
  • 農薬の使用量を抑えられる
  • 糖度が高く、風味豊かな高品質なブドウを収穫できる
収穫量が従来のパラール仕立てより減ってしまう場合がある

パラール仕立てのルーツ

パラール仕立てのルーツ

パラール仕立ては、ブドウの樹を水平方向に仕立てる独特な栽培方法で、現在ではアルゼンチンで広く見られます。しかし、その起源は意外にも遠く離れたイタリアにあります。パラールという言葉自体、イタリア語で「日よけ棚」を意味する「ペルゴラ」に由来しています。

イタリアから海を渡り、アルゼンチンの地に持ち込まれたパラール仕立ては、その乾燥した気候と日照量の多い環境に非常によく適応しました。ブドウの樹を高く棚仕立てにすることで、強い日差しから果実を守り、葉で地面を覆うことで水の蒸発を防ぎます。さらに、風通しの良い構造は、湿度の高い地域での病気を予防する効果も期待できます。

こうして、アルゼンチンで広く普及したパラール仕立てですが、その利点は気候が似ている他の地域でも認められ、世界各地に広がりを見せています。今では、日本やポルトガルの一部、そしてエジプトなど、降雨量の多い地域でも、その土地に合わせた形でパラール仕立てが取り入れられています

パラール仕立ては、先人の知恵と工夫が詰まった、まさにブドウ栽培の伝統と進化を象徴する仕立て方と言えるでしょう。

項目 内容
仕立て方 パラール仕立て
特徴 ブドウの樹を水平方向に棚仕立てにする
起源 イタリア(「ペルゴラ」という言葉に由来)
主な普及地域 アルゼンチン
アルゼンチンに適した理由 – 乾燥した気候と日照量の多い環境に適応
– 果実を強い日差しから保護
– 葉で地面を覆うことで水の蒸発を防止
– 風通しが良い構造は、病気を予防
世界的な広がり 日本、ポルトガル、エジプトなど、降雨量の多い地域でも取り入れられている
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