甘美なる凝縮!アパッシメントが生む芳醇な世界
ワインを知りたい
先生、「アパッシメント」ってなんですか? ぶどうを干してからワインを作るって、どんなワインになるんですか?
ワイン研究家
いい質問だね!「アパッシメント」は、収穫したぶどうを陰干しして水分を飛ばし、甘みを凝縮させてからワインを作る製法のことだよ。 干しぶどうみたいに、ギュッと甘くなるんだね。
ワインを知りたい
じゃあ、甘いワインができるんですか?
ワイン研究家
そう思うよね! 実は、甘口ワインだけでなく、辛口ワインも作られるんだよ。 干しぶどうを使うと、糖分が多くなるから、発酵を進めて辛口に仕上げることもできるんだ。 イタリアの「アマローネ」ってワインが有名だよ。
アパッシメントとは。
ワインの言葉で「アパッシメント」っていうのは、とれたブドウを二、三か月ほど日陰で干して、水分を飛ばして、うまみをギュッと凝縮させることだよ。日陰で干して、干しぶどうみたいに甘くなったブドウを絞ってワインを作るんだけど、甘いワインになる場合もあれば、辛口になる場合もあるんだ。有名なのは、イタリアのヴェネト州で作られるアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラってやつだね。日陰で干す方法は、S字のフックみたいなのにぶら下げたり、ワラの上に並べたり、棚に並べたり、いろいろあるんだ。【下の写真:とれたブドウを丁寧に日陰で干しているところです】
ブドウの魔術、アパッシメントとは?
ワイン造りの世界は、ブドウの潜在能力を最大限に引き出す、様々な工夫に満ちています。その中でも、イタリアで古くから伝わる伝統的な技法である「アパッシメント」は、他にはない独特の風味と、深く芳醇な香りを生み出すことで知られています。
アパッシメントとは、収穫したばかりの新鮮なブドウを、太陽の光と風の力を借りて、じっくりと時間をかけて陰干ししていく技術です。まるでブドウが太陽のエネルギーを全身に浴びて、甘美な眠りにつくかのように、2~3ヶ月もの間、ゆっくりと水分が抜けていきます。その間、ブドウの実は、まるで甘く熟したレーズンのように、凝縮された糖度と濃厚なエキスを持つようになります。
この魔法のような過程こそが、アパッシメントの最大の魅力と言えるでしょう。こうして作られたワインは、濃厚な甘みと芳醇な香り、そして深いコクと複雑な味わいを持ち、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。イタリアの太陽と風、そしてワイン職人の情熱と技術が織りなすアパッシメントは、まさにブドウの魔術と呼ぶにふさわしいでしょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
技術名 | アパッシメント |
概要 | 収穫したブドウを太陽光と風で2~3ヶ月陰干しする伝統的なイタリアの技法 |
効果 | ブドウの水分が抜け、糖度とエキスが凝縮される |
ワインの特徴 | 濃厚な甘みと芳醇な香り、深いコクと複雑な味わい |
太陽と風の恩恵、陰干しの方法
ワイン造りにおける陰干し、それは太陽と風の力を借りてブドウの旨味を凝縮させる、自然の恵みを最大限に活かした伝統的な技法です。
アパッシメントと呼ばれるこの方法は、地域や造り手の哲学によって多岐に渡ります。イタリアの伝統的な手法では、S字型のフックを用いて、ブドウを一房ずつ丁寧に吊るしていきます。まるで宝石のように輝くブドウが、太陽の光を浴びて黄金色に輝きを増していく様は、まさに自然と人間の共同作業が生み出す芸術と言えるでしょう。
一方、広大な土地に藁を敷き詰め、その上にブドウを広げていく方法も存在します。また、風通しの良い棚に一粒ずつ丁寧に並べていく方法など、それぞれの土地の気候や風土に合わせた最適な方法が長い年月をかけて培われてきました。
こうして、ゆっくりと時間をかけて乾燥させていくことで、ブドウの水分が減り、糖度や香りが凝縮されていきます。ブドウ本来の味わいが凝縮されたアパッシメントワインは、独特の風味と芳醇な香りを持ち、唯一無二の存在感を放ちます。それは、自然と人間の情熱が織りなす、まさに芸術品と呼ぶにふさわしいでしょう。
陰干し方法 | 特徴 |
---|---|
イタリアの伝統的な手法 | S字型のフックを用いて、ブドウを一房ずつ丁寧に吊るす。 |
藁を敷き詰める方法 | 広大な土地に藁を敷き詰め、その上にブドウを広げていく。 |
棚に一粒ずつ並べる方法 | 風通しの良い棚に一粒ずつ丁寧に並べていく。 |
アマローネだけじゃない!アパッシメントから生まれる多彩な味わい
ブドウを陰干しして水分を飛ばし、凝縮した旨味を引き出す醸造方法、アパッシメント。この技法を用いて造られるワインとして、まず頭に浮かぶのは、イタリア北東部、ヴェネト州の赤ワイン「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」ではないでしょうか。濃厚で力強い味わいは、まさにアパッシメントの真骨頂と言えるでしょう。
しかし、アパッシメントの魅力は、アマローネだけに留まりません。凝縮されたブドウから生まれるワインは、甘口から辛口まで、その味わいは実に多彩です。 赤ワインはもちろんのこと、白ワイン、ロゼワイン、そしてスパークリングワインなど、様々なスタイルのワインに姿を変え、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。
例えば、イタリア北西部、ピエモンテ州では、白ワインのモスカート種を陰干しして造る「モスカート・ダスティ」が有名です。こちらは、甘美な香りと上品な甘さが特徴です。また、トレンティーノ・アルト・アディジェ州では、赤ワインのレチョート種を用いた「レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ」が造られています。こちらは、アマローネと同じく濃厚な味わいのワインですが、甘口に仕上げるのが特徴です。
このように、アパッシメントは、ブドウの品種や産地、そして醸造家の技術によって、様々な表情を見せてくれます。まさに、ブドウの可能性を広げる、魔法の技と言えるでしょう。
ワイン名 | 産地 | ブドウ品種 | スタイル | 特徴 |
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アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ | イタリア、ヴェネト州 | 赤ワイン | 辛口 | 濃厚、力強い味わい |
モスカート・ダスティ | イタリア、ピエモンテ州 | モスカート(白ワイン) | 甘口 | 甘美な香り、上品な甘さ |
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ | イタリア、トレンティーノ・アルト・アディジェ州 | レチョート(赤ワイン) | 甘口 | 濃厚な味わい |