貴腐菌

生産方法

黄金の甘露:貴腐ワインの世界

甘美な芳香と濃厚な甘みを持つ貴腐ワイン。その名の通り、「貴腐」と呼ばれる特殊な菌の働きによって生まれます。貴腐菌は、成熟したブドウの果皮に付着し、その表面を覆う蝋質を分解します。すると、ブドウは自身を守るため、水分を果皮の外へ蒸発させようとします。結果として、ブドウ内部では水分が減少し、糖分や酸などが凝縮されていきます。貴腐菌の活動は、霧が発生しやすい朝方に活発化し、日中は乾燥した状態が続くことで促進されます。このように、貴腐菌の発生には、特別な気候条件が必要とされるのです。こうして得られた、糖度が極めて高い濃縮果汁を用いることで、蜂蜜のように濃厚で芳醇な甘みを持つ貴腐ワインが生まれます。ブドウ本来の甘みを遥かに超えた、芳醇で複雑な味わいは、まさに「奇跡の菌が生む甘美な味わい」と言えるでしょう。
気候

貴腐ワインを生むシロン川の神秘

フランス南西部に広がるボルドー地方。その中でも特に名高いソーテルヌ地区とバルザック地区は、二つの大河、ガロンヌ川とシロン川の合流地点に位置しています。この地で生まれるワインこそ、世界中の愛好家を魅了してやまない、貴腐ワインです。ガロンヌ川は、大 Atlantic 海から流れ込む温暖な海流の影響を受け、穏やかで湿気を帯びた空気を運んできます。一方、ピレネー山脈から流れ出すシロン川は、冷たく乾燥した空気を運びます。二つの川が出会う時、湿った暖かい空気と冷たく乾燥した空気がぶつかり合い、朝霧が発生します。この霧こそが、貴腐ワインを生み出す貴腐菌の繁殖に欠かせない要素です。貴腐菌は、霧によって葡萄の果皮に傷をつけ、その傷口から果汁の水分を奪いながら、独特の香りを生成します。こうして生まれた貴腐葡萄は、通常の葡萄に比べて糖度が濃縮され、蜂蜜やアプリコット、そして香ばしいナッツの香りが凝 縮された、他に類を見ない甘美なワインへと生まれ変わります。二つの川の交差点で生まれる奇跡の環境。それは、自然の恩恵と人の英知が織りなす、まさに芸術と言えるでしょう。