ワイン醸造

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ワインの保存の秘密兵器:二酸化硫黄

ワイン造りにおいて欠かせない存在である「二酸化硫黄」。硫黄を燃やすと発生する気体で、独特のツンとした刺激臭が特徴です。ワインの世界では「亜硫酸」や「亜硫酸塩」とも呼ばれ、様々な役割を担っています。 二酸化硫黄は、強い抗菌作用と酸化防止作用を持つため、ワインの品質を守る上で重要な役割を果たします。ブドウの収穫後から醸造過程、瓶詰めまで、様々な段階で使用されます。具体的には、雑菌の繁殖を抑え、酸化による劣化を防ぎ、ワインの香りを長持ちさせる効果があります。 しかしながら、二酸化硫黄は人体に悪影響を与える可能性も秘めています。そのため、ワインに使用できる量には厳しい制限が設けられています。また、近年では、健康志向の高まりから、二酸化硫黄の使用量を減らした「低亜硫酸ワイン」も注目を集めています。 二酸化硫黄は、ワインの品質を保つ上で欠かせない存在である一方、使用量には注意が必要な成分です。低亜硫酸ワインを選ぶなど、自分の体質や好みに合わせて、ワインと上手に付き合っていきましょう。
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ワインの輝きを生む技術:コラージュ

ワインを造る上で、その透き通った美しい見た目は、味わいと同じくらい大切にされています。しかし、ブドウを発酵させ、熟成させる過程で、酵母やタンニン、タンパク質など、様々な成分がワインの中に溶け込み、濁りが生じてしまうことがあります。生まれたてのワインはまだ荒々しく、輝きを放つためには、「コラージュ」という技術が必要となります。コラージュとは、瓶に詰める前のワインに、卵白やベントナイト、ゼラチンといった清澄剤を加えることで、濁りの原因となる成分を吸着させ、沈殿させて取り除き、透明度を高める作業のことです。まるで魔法のように、これらの清澄剤はワインの中を漂う微粒子を捕らえ、キラキラと輝くワインへと導きます。卵白は、主に赤ワインに使用され、渋みの原因となるタンニンを効果的に除去します。ベントナイトは粘土の一種で、白ワインによく用され、タンパク質を吸着して濁りを抑え、ワインに安定感を与えます。ゼラチンは、 both 赤ワインと白ワインに使用することができ、ワインにまろやかさを与えながら濁りを除去します。コラージュは、ワインの輝きを取り戻すための重要な工程ですが、その一方で、ワイン本来の味わいや香りに影響を与える可能性も孕んでいます。そのため、経験豊富な醸造家は、それぞれのワインの個性を見極め、最適な清澄剤の種類と量を決定します。こうして、丹念な努力と技術によって、私たちの目を楽しませ、心を豊かにしてくれる、美しく輝くワインが生まれるのです。
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ワインの「ノンフィルター」って?

- ワイン造りにおける濾過とは?ワイン造りにおいて、濾過は最終段階で行われる重要な工程の一つです。濾過とは、ワインの中に残っている酵母やタンニン、果肉などの微粒子を取り除き、透明で美しい外観に仕上げる作業のことを指します。ワインを発酵させると、酵母やブドウの果肉、タンニンなどの様々な成分が溶け出し、濁りが生じます。これらの微粒子は、ワインの味わいに複雑さを与えることもありますが、過剰に存在すると、見た目が濁ってしまったり、味わいが荒々しく感じられたり、保存中に瓶内で変化が生じたりする可能性があります。そこで、ワインを美しく仕上げ、品質を安定させるために濾過という工程が必要となるのです。濾過には、フィルターの目の細かさによって様々な種類があります。粗いフィルターで大きな粒子を取り除く粗濾過、細かいフィルターでより微細な粒子を取り除く精密濾過など、ワインの個性や目指す味わいに合わせて使い分けられます。濾過を行うことで、ワインの味わいは滑らかになり、濁りや澱の発生が抑えられます。また、微生物の活動を抑制するため、品質を長期間安定させる効果も期待できます。しかし、濾過によってワイン本来の風味が損なわれてしまう可能性もわずかながら存在します。そのため、濾過を行うか否か、どの程度の濾過を行うかは、醸造家の哲学やワインのスタイルによって慎重に判断されます。
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ノン・コラージュ ワインの自然な魅力とは?

- ワイン造りの革新、ノン・コラージュとは? ワイン造りの世界において、近年注目を集めているのが「ノン・コラージュ」という手法です。これは、ワインを美しく澄んだ外観に仕上げるために広く行われている清澄処理を、あえて行わないという革新的な試みです。 ワインの品質を評価する際、その輝きや透明度は重要な要素とされてきました。しかし、ノン・コラージュを選ぶ造り手たちは、伝統的な価値観にとらわれず、ブドウが持つ本来の味わいや個性を最大限に引き出すことを目指しています。 ノン・コラージュによって生まれるワインは、一般的なワインに比べて、色が濃く、濁りや澱が残っている場合があります。しかし、これは決して欠陥ではなく、ブドウの旨みや香りが凝縮された、複雑で奥深い味わいの証と言えるでしょう。 自然派ワインの流行も相まって、ノン・コラージュは世界中のワイン愛好家から注目を集めています。それは、自然の恵みであるブドウをありのままに表現しようとする、造り手の情熱と哲学が、ワインを通して感じられるからかもしれません。
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ワインの「ムー」って?

- ワイン造りの重要な段階ムー 太陽の恵みをたっぷり浴びたブドウを収穫し、醸造所へと運び込まれると、いよいよワイン造りの幕開けです。 圧搾機で果汁を絞り出し、酵母の働きによってアルコール発酵させるまでが、一般的なワイン造りのイメージとして定着しているのではないでしょうか。しかし、その工程の一つ一つの中に、長年の経験と技術に基づいた、緻密な作業が隠されているのです。 その中でも特に、「ムー」と呼ばれる段階は、ワインの品質を左右する重要なポイントとなります。一体、「ムー」とはどのようなものなのでしょうか? 「ムー」とは、フランス語で「澱引き」を意味する言葉で、発酵を終えたワインを、タンクの底に沈殿した澱から分離する作業のことを指します。 澱には、果皮や種子、酵母の死骸などが含まれており、ワインに複雑な香りを与えたり、熟成を進める上で重要な役割を果たします。しかし、澱とワインを長時間接触させたままにしておくと、苦味や渋味が出てしまい、ワインの品質を損なう原因となってしまいます。 そこで、「ムー」を行い、適切なタイミングで澱とワインを分離することで、雑味のない、クリアな味わいのワインを生み出すことができるのです。 「ムー」のタイミングや回数は、ワインの種類や目指す味わいに応じて、醸造家が長年の経験と勘に基づいて判断します。 まさに、醸造家の腕の見せ所と言えるでしょう。 普段何気なく口にしているワインも、こうした緻密な作業の積み重ねによって、その豊かな風味や香りを生み出していることを、少しだけ意識してみると、ワインがもっと奥深い飲み物に感じられるかもしれません。
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ワインの樽熟成:その魅力を探る

- 樽熟成とはワイン造りにおいて、ブドウの果汁を発酵させてできるお酒をさらに熟成させる工程は欠かせないものです。その中でも、木製の樽を用いる「樽熟成」は、ワインに独特の風味や香りを与える重要な工程と言えるでしょう。樽熟成とは、醸造されたばかりのワインを、オークなどの木で作られた樽の中で一定期間寝かせることを指します。この工程中に、ワインは樽の持つ成分を少しずつ吸収していきます。特にオーク材は、バニラやスパイス、ナッツ、チョコレートなどを連想させる芳香成分を豊富に含んでおり、これがワインに移ることで複雑な香味が生まれます。樽熟成の効果は、香りづけだけではありません。樽の素材である木材には無数の細かい孔が開いており、そこからゆっくりと空気中の酸素がワインに触れていきます。このゆっくりとした酸化は、ワインをまろやかにし、渋みを和らげる効果があります。さらに、熟成期間中にワインの成分が複雑に変化することで、より深みのある味わいに仕上がっていきます。樽の種類や熟成期間は、ワインの品種や作り手が目指す味わいに応じて調整されます。例えば、白ワインは比較的短期間の熟成で爽やかな果実味を活かすことが多い一方、赤ワインは長期間熟成させて複雑な風味を引き出すことが多いです。このように樽熟成は、ワインに豊かな個性を与える重要な工程と言えるでしょう。
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ワインの輝きを生む「清澄」の秘密

黄金色に輝く白ワイン、ルビーのように透き通った赤ワイン。その美しさは、ひと目で私たちの心を奪い、ワインの魅力をより一層引き立てます。しかし、自然とこのような美しい姿になるかというと、そうではありません。生まれたままのワインは、澱(おり)や微小な粒子が混ざり合い、濁っていて輝きも乏しいものです。実は、ワイン造りの過程で行われる「清澄」という作業こそが、私たちが目にする透き通った輝きを生み出すために重要な役割を果たしているのです。 清澄とは、ワインの中に浮遊する微粒子を沈殿させ、取り除く作業のことです。この作業により、濁りの原因となる物質が除去され、ワイン本来の美しい色合いが引き出されます。さらに、雑味や渋みが抑えられ、まろやかで洗練された味わいに仕上がります。 清澄には、伝統的な方法から近代的な技術まで様々な方法が用いられます。例えば、卵白やゼラチンなどを用いて微粒子を吸着させる方法や、フィルターを通して物理的に除去する方法などがあります。 美しい輝きを放つワインは、造り手の丁寧な仕事と、自然の恵みが見事に調和した結果と言えるでしょう。
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ワインのマロラクティック発酵:味わいを深める秘密

ワインは、ブドウの果汁を発酵させて作られますが、その製造過程には、風味を左右する様々な工程が存在します。中でも「マロラクティック発酵」は、ワインの味わいを大きく変化させる重要なプロセスとして知られています。 ワインには、ブドウ由来の様々な酸が含まれており、その一つに「リンゴ酸」があります。リンゴ酸は、その名の通り青リンゴのような鋭い酸味を持つのが特徴です。このリンゴ酸を、乳酸菌の働きによって、より穏やかな「乳酸」へと変化させるのがマロラクティック発酵です。 乳酸は、ヨーグルトなどに含まれる、まろやかな酸味が特徴です。マロラクティック発酵を経ることで、ワインに含まれる「キツい酸味が和らぎ、まろやかで複雑な味わい」が生まれます。 赤ワインの場合、ほとんどがこのマロラクティック発酵を経ています。これは、赤ワインに含まれるタンニンとのバランスをとり、よりまろやかで飲みやすいワインにするためです。一方、白ワインでは、フレッシュでフルーティーな味わいを残すため、マロラクティック発酵を行わない場合もあります。 このように、マロラクティック発酵は、ワインのスタイルやブドウの品種によって、選択的に行われています。ワインを口にした時、その酸味がまろやかで複雑なものであるならば、それはマロラクティック発酵の賜物と言えるでしょう。
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ワインの味わいを左右する「マロラクティック発酵」

- マロラクティック発酵とはワイン造りにおいて、ブドウの果汁をアルコール発酵させてワインへと変貌させる過程は誰もが知るところでしょう。しかし、ワイン造りにはもう一つ、「マロラクティック発酵」と呼ばれる重要な工程が存在します。マロラクティック発酵とは、ワインの中に存在する酸に変化をもたらす工程です。ワインには、ブドウに由来する様々な種類の酸が含まれています。その中でも、シャープな酸味を持つリンゴ酸は、若々しいワインに青リンゴのような爽やかな風味を与えます。 マロラクティック発酵では、このリンゴ酸が乳酸菌の働きによって、まろやかな酸味の乳酸と炭酸ガスに分解されます。結果として、ワインは酸味が穏やかになり、まろやかで複雑な味わいを獲得するのです。この発酵は、赤ワイン、特にコクのある赤ワイン造りにおいて頻繁に用いられます。しかし、白ワインにおいても、シャルドネのようなコクのあるタイプや、乳酸発酵由来の風味と相性の良いタイプで採用されることがあります。マロラクティック発酵を行うかどうかは、ワインのスタイルや目指す味わいに大きく影響します。そのため、ワインメーカーはこの発酵を注意深く管理し、最適なタイミングと条件を見極めることで、最高のワインを生み出しているのです。
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ワインの世界の巨人!ドッペルシュトック樽とは

ワインのラベルや説明書きを眺めていると、聞き慣れないドイツ語に出会うことがありますよね。特にドイツワインは、独特の表現や単語が多く、興味深い反面、少し難解に感じることも少なくありません。「ドッペルシュトック」も、そんな聞き慣れないドイツ語の一つでしょう。 一体「ドッペルシュトック」とは何か?というと、ドイツの一部の地域で使用されている、巨大なワイン樽のことを指します。その名の通り、通常の樽の倍の大きさがあることから、「ドッペル(二重)」「シュトック(樽)」と呼ばれています。 では、なぜこのような巨大な樽が使われているのでしょうか? ドイツのワイン産地、特にモーゼル地方のような冷涼な地域では、ブドウの成熟がゆっくりとなるため、より長い時間をかけて熟成させることが求められます。そこで活躍するのが、この「ドッペルシュトック」なのです。 巨大な樽は、温度変化が穏やかであるため、ワインをゆっくりと熟成させるのに最適です。長い年月を経て、樽の中でじっくりと熟成されたワインは、まろやかで複雑な味わいを持ちます。 「ドッペルシュトック」という言葉を見かけたら、それは、そのワインが、伝統的な製法と、時間をかけて熟成された特別な一本であることを示しているのかもしれません。
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ワイン造りの隠れた立役者「除梗」

ワイン造りは、太陽の光を浴びて育ったブドウの実を収穫するところから始まります。そしてワイナリーに運び込まれたブドウは、最初の重要な工程へと進みます。それが「除梗」と呼ばれる作業です。 「除梗」とは、ブドウの実を房から一つ一つ丁寧に外していく作業のことです。この時、実と実をつないでいる茎の部分、専門用語で「果梗」を取り除きます。果梗は、ワインに好ましくない苦味や渋味、そして青臭さを与えてしまう可能性があります。除梗によって果梗を取り除くことで、ブドウ本来の純粋な味わいを引き出すことができるのです。 果梗の取り除き方は、伝統的な手作業で行う場合もあれば、機械を使って効率的に行う場合もあります。いずれにしても、ワインの品質を左右する重要な作業であることに変わりはありません。丁寧に除梗されたブドウは、その後、破砕され、発酵へと進み、ゆっくりとワインへと姿を変えていきます。
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ジョージアの伝統、クヴェヴリワインの世界

- クヴェヴリとはクヴェヴリとは、ジョージアで古くからワイン造りに用いられてきた、素焼きの巨大な壺のような容器のことです。その歴史は大変古く、紀元前6000年頃まで遡るとされています。まるで卵を逆さまにしたような、独特の形が特徴です。 クヴェヴリは、単なるワインの醸造容器ではなく、ジョージアの人々にとって、彼らの文化や歴史と深く結びついた、大切な存在です。 クヴェヴリは、まず地面を深く掘り、その中に埋め込むようにして設置されます。そして、その中でブドウを果皮、種、茎ごと発酵させます。この伝統的な製法は、ジョージア語で「クヴェヴリ・ワイン」と呼ばれる、独特の風味と香りのワインを生み出します。 クヴェヴリ・ワインは、タンニンが豊富で、複雑な味わいと長い余韻が特徴です。近年では、その独特の味わいが世界中で注目を集めており、ジョージアの伝統的なワイン造りは、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
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ワインの熟成:時が育む豊かな味わい

- 熟成とは?ぶどうの収穫、圧搾、発酵と並んで、ワイン造りにおいて「熟成」は欠かせない工程です。生まれたばかりのワインは、若々しいながらも荒々しさが目立ち、そのポテンシャルを十分に発揮しきれていません。そこで、発酵を終えたワインをタンクや樽の中で一定期間寝かせることで、味わいをまろやかに整え、複雑な香りを引き出すのが「熟成」の役割です。熟成期間中は、ワインの中で様々な化学反応が起こります。例えば、渋みのもととなるタンニンは、熟成期間中に結合して大きく変化します。これにより、若いうちは荒々しく感じられた渋みが、まろやかで心地よい口当たりに変化していきます。また、熟成中に生まれる様々な香りの成分が、複雑で奥深い香りを生み出します。フレッシュな果実の香りが、ドライフルーツやスパイス、ナッツのような複雑な香りに変化していく様子は、まさに熟成が生み出す魔法と言えるでしょう。熟成期間の長さは、ワインのスタイルや目指す味わいによって異なります。数ヶ月で出荷されるフレッシュなワインもあれば、何十年もかけてじっくりと熟成させるワインもあります。熟成という時間の中で、ワインはゆっくりと変化し、深みと複雑さを増していきます。そして、飲み頃を迎えたワインは、私たちに最高の喜びと感動を与えてくれるのです。
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ワインの心臓部! マストの秘密

- ワイン造りの基礎、マストとは? ワイン造りの現場では、「マスト」という言葉がよく聞かれます。この「マスト」は、ブドウが芳醇なワインへと姿を変えるまでの過程において、非常に重要な役割を担っています。 「マスト」とは、簡単に言えば、ブドウを潰して得られる果汁と固形分の混合物のことを指します。 つまり、ブドウの実から搾り出されたばかりの、まだアルコール発酵が始まっていない状態の液体のことです。 このマストには、ブドウの果汁だけでなく、果皮、種子、果梗なども含まれています。 これらの成分は、ワインの色、香り、味わいを決定づける重要な要素となります。 例えば、赤ワインにおいて重要な役割を果たすタンニンは、主に果皮や種子に含まれています。 私たちが楽しむワインは、このマストが発酵し、熟成を経て生まれてきます。 つまり、「マスト」はワインの原料であり、ワイン造りのすべての出発点と言えるでしょう。 ワイン造りにおける「マスト」の重要性を理解することで、ワインに対する理解をより深めることができるでしょう。
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ワイン醸造の技法:クリカージュ

- クリカージュとは ワイン造りにおいて、ブドウの果汁を発酵させてアルコールを生成する工程は非常に重要です。この発酵過程で活躍するのが酵母ですが、酵母が活発に活動するためには適切な環境が必要です。その環境づくりのための重要な技術の一つが「クリカージュ」です。 クリカージュとは、発酵中のワインに微量の酸素を送り込む作業のことを指します。酸素は、酵母の活動を促進し、健全な発酵を促すために欠かせません。 具体的には、タンクの底からポンプでワインを汲み上げ、タンク上部からシャワーのようにワインを降下させることで、空気中の酸素を取り込みます。この時、ワインの中に発生する微細な泡が、まるで真珠のネックレスのように見えることから、フランス語でネックレスを意味する「クリコ」にちなんで「クリカージュ」と名付けられました。 クリカージュを行うことで、酵母はより活発に活動し、複雑で豊かな香りを持ち、味わいに深みのあるワインを生み出すことができます。一方で、過剰な酸素はワインの酸化を招き、品質を損なう可能性もあるため、適切なタイミングと量を見極めることが重要です。長年の経験と知識に基づいた、まさに職人の技と言えるでしょう。
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デブルバージュ:よりクリアな白ワインを生む技術

皆様、ワインはお好きですか?一口にワインと言っても、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインと様々な種類が存在し、それぞれに独特の風味がありますよね。実は、私たちが楽しむ一杯のワインは、ブドウの栽培から始まり、醸造、熟成といった長い年月と数多くの工程を経て作られています。 今回は、数あるワインの種類の中でも、白ワイン造りにおいて特に重要な工程である「デブルバージュ」について、詳しくお話しましょう。「デブルバージュ」とは、フランス語で「濁りを取る」という意味を持つ言葉です。白ワインの原料となるブドウは、赤ワインのように果皮の色素を抽出する必要がありません。むしろ、白ワインに求められるすっきりとした味わいや美しい色合いを損なわないためには、果皮や果梗などに含まれる苦味や渋味、濁りの原因となる成分を取り除くことが重要になります。 この「デブルバージュ」という工程は、まさに白ワイン造りの最初の分岐点と言えるでしょう。果実本来の豊かな香りを最大限に引き出しつつ、雑味のないクリアな味わいを生み出すために、経験と技術に基づいた繊細な作業が必要とされます。一体どのような方法で行われるのか、そして、それが白ワインの味わいにどう影響するのか、これから一緒に見ていきましょう。
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ワイン醸造における革新:逆浸透膜法とは?

ワインの味わいを決定づける最も重要な要素は、原料となるブドウの品質です。しかし、ワイン造りは自然を相手にするがゆえに、理想的なブドウを収穫することは容易ではありません。天候不順や土壌の状態など、様々な要因がブドウの出来栄えに影響を与えるからです。そこで近年、ワイン醸造の分野で注目を集めているのが「逆浸透膜法」という技術です。 逆浸透膜法とは、水を通し、それ以外の物質を通さない特殊な膜を用いて、液体に含まれる成分を濃縮したり分離したりする方法です。この技術をワイン造りに応用することで、ブドウ果汁から余分な水分だけを取り除き、香りや味わいの成分を凝縮させることができます。 従来の濃縮方法では、加熱によって水分を蒸発させていましたが、この過程で香りの成分も一緒に揮発してしまう可能性がありました。一方、逆浸透膜法は常温で処理を行うため、ブドウ本来の繊細な香りや風味を損なうことなく、凝縮した果汁を得ることができる点が大きなメリットです。 逆浸透膜法は、天候に左右されずに安定した品質のワイン造りを目指すワインメーカーにとって、まさに「秘密兵器」と言えるでしょう。この技術によって、これまで以上に高品質で香り豊かなワインが生まれることが期待されています。
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ワイン業界に革新? ポリマータンクとは

ワインを保存しておくには、昔ながらの木製の樽や、近年よく使われるようになったステンレス製のタンクが使われることが多いでしょう。しかし、近年、ワイン造りの世界に、新しい波が押し寄せてきています。それは、「ポリマータンク」と呼ばれる、特殊なプラスチック素材で作られたタンクです。 ポリマータンクは、木樽やステンレスタンクに比べて、軽量で扱いやすく、洗浄も簡単というメリットがあります。そのため、近年多くのワイナリーで導入が進んでいます。また、ポリマータンクは、ワインに余計な香りを移すことがないため、ブドウ本来の繊細な風味や香りを最大限に引き出すことができるとも言われています。 さらに、ポリマータンクは、その素材の特性から、温度管理が容易という点も大きな魅力です。ワインの熟成には、適切な温度管理が不可欠ですが、ポリマータンクは外部環境の影響を受けにくいため、安定した品質のワインを造るのに役立ちます。 このように、多くの利点を持つポリマータンクは、ワイン造りの現場において、今や欠かせない存在となりつつあります。ワイン愛好家にとっては、ポリマータンクで造られたワインを試してみることで、新たなワインの世界が広がるかもしれません。
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ワイン造りの万能選手「キュヴェ」

ワイン愛好家の間でよく耳にする「キュヴェ」という言葉。なんとなく高級な響きを感じ、特別なワインを指す言葉のように思っていませんか? 実は「キュヴェ」は、ワイン造りの様々な場面で使われる、とても便利な言葉なのです。 元々はフランス語で「水槽」や「桶」を意味し、ワインの発酵や貯蔵に使われるタンクそのものを指していました。そこから転じて、現在では「キュヴェ」は、同じ製法で造られたワイン、または同じタンクで熟成されたワインを指す言葉として使われています。 例えば、ブドウの品種や畑、収穫年などが同じワインを「キュヴェ○○」のように呼ぶことがあります。これは、ワインの個性や品質を明確にするために用いられることが多いです。特に、複数の畑のブドウをブレンドする場合や、異なる樽で熟成させたワインを組み合わせる場合などに、それぞれの個性を示すために「キュヴェ」が使われます。 つまり「キュヴェ」という言葉自体は、ワインの品質や価格の高低を示すものではありません。しかし、高品質なワインを造ることに情熱を注ぐ生産者が、自らのこだわりを表現するために「キュヴェ」という言葉を使うことが多いため、高級なイメージと結びつくようになったのかもしれません。
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ワインの「圧搾」:味わいを左右する重要な工程

- ワイン造りにおける「圧搾」とは? ワイン造りは、まるで魔法のように、小さな果実から芳醇な飲み物を生み出す工程です。その中でも「圧搾」は、果実が秘める可能性を引き出す、重要な鍵を握る作業と言えます。 「圧搾」とは、その名の通り、ブドウを圧力をかけて潰し、果汁を搾り出す作業のことです。これは、私たちが普段、果物からジュースを作る工程と原理は同じです。しかし、ワイン造りにおいては、ただ単に果汁を搾り出せば良いという単純なものではありません。 圧搾のタイミングや方法によって、ブドウの皮や種子に含まれる成分の抽出量が変化し、それがワインの色合いや香り、味わいに大きく影響を与えるからです。繊細なバランスを保ちながら、求めるワインのスタイルに合わせて、圧搾の度合いを調整する必要があるのです。 例えば、白ワインの場合、一般的には、軽い圧力で短時間かけて圧搾を行います。これは、渋みや苦味のもととなる皮や種子からの成分抽出を抑え、淡い色合いと爽やかな味わいを引き出すためです。 一方、赤ワインの場合は、色素やタンニンを豊富に含む皮を果汁に漬け込む必要があるため、白ワインに比べて強い圧力をかけて圧搾を行います。 このように、一見単純に見える「圧搾」という作業ですが、実は、ワインの個性と品質を決める、非常に繊細で重要なプロセスと言えるでしょう。
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ワインと亜硫酸塩の密接な関係

- ワインにおける亜硫酸塩の役割 ワイン造りにおいて、亜硫酸塩はなくてはならない存在です。古くからワインの酸化防止剤として使用されてきた亜硫酸塩は、現代のワイン造りにおいても重要な役割を担っています。 ワインは、空気中の酸素に触れると酸化が進み、風味や香りが損なわれてしまいます。色が変化したり、風味が濁ったり、本来の美味しさが失われてしまうのです。 亜硫酸塩は、この酸化を強力に抑える働きを持っています。亜硫酸塩を添加することで、ワインは酸化から守られ、本来の品質を長く保つことができるのです。 さらに亜硫酸塩は、酸化以外の作用も持ち合わせています。ワインに存在する微生物の繁殖を抑え、品質の劣化を防ぐ効果もあります。 このように、亜硫酸塩はワインを健全な状態に保ち、私たちに最高の状態で届けるために、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
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ワインの輝きの裏側:ベントナイトの役割

黄金色に輝く白ワイン、深紅の輝きを放つ赤ワイン。私たちは視覚でもワインの魅力を感じます。その美しさを支えているもののひとつに、「清澄」という作業があります。ワイン造りの最終段階で行われるこの作業は、濁りのない、透き通ったワインを生み出すために欠かせません。 ワインは、ブドウの果実だけでなく、果皮や種子などに含まれる様々な成分から作られます。熟成の過程で、これらの成分は複雑に変化し、ワインに深みと複雑さを与えます。しかし同時に、澱と呼ばれる沈殿物も生み出してしまいます。澱は、ワインの味わいを損なったり、見た目を悪くしたりする原因となります。 そこで登場するのが「清澄」という作業です。清澄とは、ワインに含まれる澱を沈殿させ、透明度を高める工程を指します。澱には、タンパク質やタンニンなど、ワインの濁りの原因となる物質が含まれています。これらの物質を効率的に除去するために、様々な方法が用いられます。 その中でも、伝統的かつ効果的な方法の一つとして知られているのが「ベントナイト」の使用です。ベントナイトは、粘土鉱物の一種で、優れた吸着力を持つ天然素材です。微細なベントナイトの粒子が、ワイン中の濁りの原因となる物質を吸着し、大きな塊となって沈殿させることで、透明度の高いワインを生み出すことができるのです。 こうして、澱を取り除かれたワインは、本来の輝きを取り戻し、美しく澄み切った姿へと生まれ変わります。清澄作業は、まさに「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。私たちがワインの美しい色合いを楽しむことができるのも、こうした努力の賜物なのです。
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プレスワイン:深淵なる味わいの秘密

ワインは、ブドウの果汁をアルコール発酵させることで作られますが、その過程で欠かせないのが、ブドウからいかに果汁を抽出するかという工程です。この工程は「圧搾」と呼ばれ、この圧搾方法によって、風味も個性も異なるワインが生まれます。 ブドウを破砕した後、自然と流れ出る果汁を「フリーランワイン」と呼びます。フリーランワインは、果皮と接触する時間が短いため、色合いが淡く、渋みが少なく、フルーティーな味わいが特徴です。 一方、「プレスワイン」は、このフリーランワインを取り出した後の果皮や種子などを、圧搾機にかけて搾り出した果汁から作られます。圧力をかけて搾るため、果皮や種子などに含まれるタンニンやポリフェノールといった成分が、より多く抽出されます。そのため、プレスワインは、フリーランワインに比べて、色が濃く、渋みが強く、複雑な味わいを持ちます。 プレスワインは、単独で瓶詰めされることは少なく、フリーランワインとブレンドされることが一般的です。プレスワインを加えることで、ワインに深みと複雑さが加わり、味わいに奥行きが生まれます。また、熟成にも良い影響を与え、長期熟成に耐えうるワインが出来上がります。 このように、プレスワインは、ワインの味わいを決定づける重要な要素の一つと言えるでしょう。
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ワイン造りの基礎知識:オリ引きとは?

黄金色に輝く白ワイン、ルビーのように艶やかな赤ワイン。その美しさは、実は多くの工程を経て生まれます。ワイン造りの初期段階では、ワインは決して透き通ってはいません。むしろ、ぶどうの果皮や種、酵母など、さまざまな物質が混ざり合い、濁っているのが一般的です。この濁りの原因となる物質を「澱(おり)」と呼びます。 澱には、ぶどう由来のものと、醸造過程で生じるものがあります。ぶどう由来の澱には、果皮や種、果梗などが挙げられます。これらの成分は、ワインにタンニンや色素、香りを与える役割を果たしますが、同時に濁りの原因にもなります。一方、醸造過程で生じる澱には、酵母やタンパク質、酒石酸などが挙げられます。酵母はアルコール発酵に欠かせない微生物ですが、発酵が進むにつれて死滅し、澱として沈殿します。タンパク質は、ぶどうの果肉に含まれる成分で、熱によって変性し、濁りの原因となります。酒石酸は、ぶどうに含まれる酸の一種で、ワインの熟成中に結晶化し、澱として沈殿します。 これらの澱は、ワインの味わいや香りに悪影響を与える可能性があります。そのため、ワイン造りでは、澱を取り除くための様々な工程が施されます。澱引きや濾過といった工程を経て、濁りのない美しいワインが完成するのです。