ワイン造りの技法:シュール・リー製法とは?
ワインを知りたい
先生、「シュール・リー」ってよく聞くんですけど、どんなものなんですか?
ワイン研究家
「シュール・リー」は、ワインの醸造方法の一つだよ。簡単に言うと、ワインを寝かせる時に、普通は取り除く「おり」を、わざと残しておくんだ。そうすることで、ワインに複雑な味わいを与えることができるんだよ。
ワインを知りたい
「おり」を残しておくんですか? 腐ったりしないんですか?
ワイン研究家
大丈夫なんだ。「おり」には、酵母が含まれていて、それが時間をかけて分解されていくことで、ワインに独特の風味やコクが生まれるんだよ。例えば、パンのような香ばしい香りがしたりね。特に、すっきりとした辛口の白ワインによく用いられる方法なんだよ。
シュール・リーとは。
「シュール・リー」って言葉、ワイン好きなら聞いたことあるかもしれませんね。これは、ワイン造りのちょっと変わった方法の名前なんです。 軽くてすっきりした味わいの白ワイン造りでよく使われます。 お酒になるための発酵が終わった後、普通は取り除く「おり」を、わざとそのままにしておくんです。 ワインと「おり」が触れ合ったまま、次の年の春が過ぎる頃までじっくりと寝かせる。これが「シュール・リー」と呼ばれる方法です。 「おり」には、時間をかけて変化していく不思議な力があって、それがワインに溶け出すことで、独特の旨味が生まれます。 もともとは、フランスのロワール地方で作られる「ミュスカデ」というワインの伝統的な製法でした。 それが今では、遠く離れた日本の甲州ワインでもよく使われるようになっているんですよ。 辛口で知られる甲州ワインにとっても、「シュール・リー」は、代表的な造り方の一つになっているんです。
シュール・リー製法とは
– シュール・リー製法とはシュール・リー製法とは、ワイン造りにおいて、発酵を終えたワインを澱と一緒に寝かせる熟成方法のことです。 フランス語で「澱の上」を意味し、その名の通り、タンクや樽の底に沈んだ酵母などの澱をそのまま残し、ワインと接触させながら熟成を進めていきます。一般的に、ワインは発酵後、澱と分離するために瓶詰め前に数回澱引きという作業を行います。 これは、澱が長期間ワインと接触すると、還元臭と呼ばれる好ましくない香りが発生する可能性があるためです。しかし、シュール・リー製法では、あえて澱を残すことで、ワインに複雑な香りと味わいを付与します。澱に含まれる酵母は、自己分解を起こし、アミノ酸や多糖類などの成分をワインに放出します。 これらの成分が、ワインに深みとコク、まろやかさを与え、さらに複雑な香りの要素を生み出すのです。具体的には、トーストやバター、ナッツ、ブリオッシュなどを思わせる香りが加わり、豊かで奥行きのある味わいに仕上がります。シュール・リー製法は、白ワイン、特にシャルドネやミュスカデといった品種でよく用いられますが、赤ワインやスパークリングワインにも応用されます。 この製法によって、ワインは独特の風味と複雑さを獲得し、より味わい深いものとなるのです。
製法 | 説明 | 効果 | 適用ワイン |
---|---|---|---|
シュール・リー製法 (Sur Lie) |
発酵後、澱(酵母など)を ワインと接触させながら熟成 |
・複雑な香りと味わい ・深みとコク、まろやかさ ・トースト、バター、ナッツ、ブリオッシュなどを思わせる香り |
・白ワイン(シャルドネ、ミュスカデなど) ・赤ワイン ・スパークリングワイン |
シュール・リー製法の工程
– シュール・リー製法の工程
ワイン造りにおいて、発酵が終わると通常は澱引きと呼ばれる工程を行い、ワインをクリアな状態にします。しかし、シュール・リー製法では、あえてこの澱引きを行わず、ワインを澱と触れ合わせたまま熟成させる点が大きな特徴です。
この澱は、ワイン発酵の過程で生じる酵母の死骸やタンパク質などを含んでおり、ワインに複雑な風味や香りを与える役割を担います。具体的には、澱に含まれる成分が時間をかけてワインとゆっくりと混ざり合うことで、ビスケットやパンのような香ばしい香り、ナッツのようなコク、そしてクリーミーな舌触りなどが生まれます。
シュール・リー製法における熟成期間は、ワインのスタイルや目指す味わいによって異なり、数ヶ月から一年以上にも及ぶことがあります。そして、この熟成期間中、定期的に澱をかき混ぜる作業を行います。この作業により、澱がワイン全体に均等に行き渡り、より複雑で深みのある味わいを引き出すことができるのです。
こうして、シュール・リー製法を経て生まれたワインは、独特の風味と複雑な味わいを持ち、他の製法では表現できない奥行きを感じさせてくれます。
工程 | 詳細 | 効果 |
---|---|---|
澱引きを行わない | 発酵後、ワインを澱(酵母の死骸やタンパク質など)と触れ合わせたまま熟成させる。 | ワインに複雑な風味や香りを与える。 |
熟成 | ワインのスタイルや目指す味わいによって、数ヶ月から一年以上熟成させる。 | 澱の成分がワインと混ざり合い、ビスケット、パン、ナッツのような香り、コク、クリーミーな舌触りが生まれる。 |
定期的な澱のかき混ぜ | 熟成期間中、定期的に澱をかき混ぜる。 | 澱がワイン全体に均等に行き渡り、より複雑で深みのある味わいになる。 |
シュール・リー製法の特徴
– シュール・リー製法の特徴シュール・リー製法とは、ワインの熟成過程で、あえて澱(おり)と呼ばれる酵母の死骸を取り除かずに、一緒に寝かせる醸造方法のことです。 この伝統的な製法を用いることで、ワインには独特の風味や味わいが生まれます。シュール・リー製法で造られるワインの特徴は、何と言ってもその豊かで複雑な香りにあります。パンを焼いたときに漂う香ばしい香ばしさや、ナッツのような芳ばしい香り、そして酵母が織りなす独特の香りが複雑に絡み合い、グラスを傾けるたびに様々な表情を見せてくれます。口に含むと、まろやかでコクのある味わいが広がります。 これは、シュール・リー製法によってワインにアミノ酸やタンパク質などの成分が溶け出し、味わいに厚みと複雑さを与えるためです。また澱は、ワインの熟成にも良い影響を与えます。 ワインは時間の経過とともに酸化が進み、品質が変化していきますが、澱の存在はこの酸化の進行を穏やかにします。 そのため、シュール・リー製法で造られたワインは、長い年月をかけて熟成させることができ、時間とともに深まる味わいの変化を楽しむことができます。
特徴 | 詳細 |
---|---|
香り | パン、ナッツ、酵母などの豊かで複雑な香り |
味わい | まろやかでコクのある味わい。アミノ酸やタンパク質による厚みと複雑さ。 |
熟成 | 澱が酸化を穏やかにし、長期熟成が可能。時間とともに味わいが深まる。 |
シュール・リー製法に向くワイン
– シュール・リー製法に向くワインシュール・リー製法は、ワインに複雑な香りとコクを与える醸造方法として知られています。特に、辛口でフレッシュな味わいの白ワインにおいて、その効果が顕著に現れます。フランスのロワール地方で有名な、ミュスカデ種を用いたワインが良い例です。この品種は、もともと爽やかな酸味とフルーティーな香りが持ち味ですが、シュール・リー製法によって、さらに複雑な風味を持つようになります。酵母との接触によって生まれる、ビスケットやパンのような香ばしい香りは、ワインに奥行きと深みを与え、他の製法では表現できない独特の味わいを生み出します。また、日本固有のブドウ品種である甲州種を使ったワインにも、シュール・リー製法は広く採用されています。甲州種は、繊細な香りと優しい酸味が特徴ですが、シュール・リー製法によって、味わいに厚みと複雑さが加わります。柑橘系の爽やかな香りに加えて、ナッツやバターを思わせるコクが感じられるようになり、料理との相性も広がります。このように、シュール・リー製法は、ブドウ本来の個性を引き立てながら、複雑で奥行きのある味わいを持つワインを生み出す、魅力的な醸造方法と言えるでしょう。
ワイン種類 | 特徴 | シュール・リー製法による変化 |
---|---|---|
辛口でフレッシュな味わいの白ワイン (例: ミュスカデ) | 爽やかな酸味とフルーティーな香り | ビスケットやパンのような香ばしい香りが加わり、複雑な風味になる |
甲州種を使ったワイン | 繊細な香りと優しい酸味 | 味わいに厚みと複雑さが加わり、ナッツやバターを思わせるコクが感じられるようになる |
シュール・リー製法のワインを試してみよう
– シュール・リー製法のワインを試してみよう近年、日本でも注目を集めているのが「シュール・リー」製法で造られたワインです。ワイン造りにおいて、「シュール・リー」とは、酵母とともに熟成させる手法を指します。通常は発酵が終わると酵母は取り除かれますが、シュール・リー製法では、あえて酵母と共にワインを熟成させることで、独特の風味やコクが生まれます。この製法で生まれたワインは、フレッシュでフルーティーなワインとは異なる、複雑で奥行きのある味わいが特徴です。ナッツのような香ばしさや、トーストのような香ばしさ、クリーミーなコクなどが感じられ、ワインに豊かな広がりを与えます。また、シュール・リー製法で造られたワインは、その独特の風味とまろやかな口当たりから、魚介料理や和食との相性も抜群です。繊細な味付けの料理を引き立て、料理とワインの調和をより一層楽しむことができます。ワインショップでワインを選ぶ際には、ぜひボトルの裏側を見てみてください。「シュール・リー」の文字を見つけたら、ぜひその奥深い味わいを体験してみてください。きっと、新しいワインの世界が広がることでしょう。
製法 | 特徴 | 味わい | 相性の良い料理 |
---|---|---|---|
シュール・リー | 酵母とともに熟成させる |
|
魚介料理、和食 |